第22話 文房具たちのお悩み第三弾
文字数 1,577文字
作者「恒例文房具のお悩み第三弾。さあ今日は熱くなりそう。ゲストは昭和生まれの穴あけ野郎パンチとコメンテーターのげんさんです」
げんさん「おい、いつからそんな役回りになったんだ。オレにも言わせろ」
パンチ「だんな今日の主役はあっしということでこいつ(作者)とは裏取引ができてるんですよ」
げんさん「お前そうなのか」
作者「まさかアノことをばらさないですよね」
パンチ「ケッ、これはあっしだけの悩みじゃねえはずだ」
*
あれはあっしが昭和文具店に並べられていたころ。
昭和文具店は小学校のすぐ近くにあって店主は嫁に来たばかりの気立てのいい明るい姐 さんだった。もちろんご近所さんからも評判で文具店は子供たちでにぎわっていた。
そんなある日、店の前でウロウロと何か迷っている子がいた。様子を伺いながら店の中の子供たちが帰っていくとまわりを気にするように入ってきた。そのときちょうど店主は品物を補充しようとしてたんだな。その子は背中越しにえんぴつと消しゴムをひとつまみしてポケットに入れやがった。あっしはびっくりしちまったぜ。
「オイお前 よ、盗っとはいけねえぜ。パクられてムショ暮らしになっちまうぜ。それでも盗むんだったらあっしを盗めってんだ!」すごんで見せたがさすがにとどかねぇ。店主が振り返ってその子の視線が泳いでいることに気づいた。
「何か探しもの...」そう言いかけたときその子は店をかけ出していった。
「年上の女を泣かすとんでもねぇガキだ」
あっしは帳簿を見つめてため息をつく店主がかわいそうでならなかった。落ち着かない様子で天井を見上げては目を伏せしばらく考えこんでいる店主。すると何かを思いつき一枚の紙に文字をかいてショーケースにペタっと貼った。
2、3日がたった。
あのガキが母親に連れられて店に入ってきやがった。フン捕 まえてやろうといきり立ったが、泣きはらした眼を見てピンときたあっしは落ち着いて見守ることにした。
「この子がお店のものをだまって持って帰ったみたいで申し訳ありませんでした」
消しゴムとえんぴつを差し出す母親。盗んだとは言わねえのにあっしはカチンときたが、店主はこうこたえた。
「ウチは学校帰りに寄ってく子供たちが多いんですけど、学校にお金を持っていくことはダメですよね。だからウチはこうしてるんです」
ショーケースの貼り紙を指さした。
(おかねをわすれた子は、こんど来たときでいいから、お店のひとにいってね)
「このあいだ言ってくれたもんね。今度きて払いますって。お母さんと一緒にきてくれるなんてお買い物のついでかな。うらやましいな」
母親はそうなの?と小声でその子の顔をのぞいたが、うんともちがうとも言わずにだまったまま。それでも店主はやさしく微笑んでいた。母親があきらめて「じゃ、これ代金・・」と言いかけたところで店主が「君が買ってくれたんだよね。君が払うんだよ」とその子にうながした。
その子は母親から代金を受け取った。
「はい。お金」
「たしかに。ありがとうございました」
* *
パンチ「どうでぇ。いい話だろ」
作者「今でもその貼り紙ありますもんね」
パンチ・げんさん「ナニ?」
作者「いえいえ、なんでも...」
げんさん「ところで何が悩みなんだ」
パンチ「にぶいねえだんな。いい女でしょ。店主」
げんさん「コラ、人妻じゃねぇか」
パンチ「文房具に人間の法律は通用しねぇぜ」
げんさん「だからって言っていいこととわるいことがあるぞ」
パンチ「なんだと、風穴開けられてぇのか」
げんさん「そっちこそ消されたいのか」
パンチ「前 気 なって だ そ よご 落ち いのか」
げんさん「〇玉○よ○の○ん○元○?お○さ○は○気○よ」
作者「 ○ ○ ○ ○ ○ ○」
(終ったのか?)
(そうみたい)
(おつかれ)
げんさん「おい、いつからそんな役回りになったんだ。オレにも言わせろ」
パンチ「だんな今日の主役はあっしということでこいつ(作者)とは裏取引ができてるんですよ」
げんさん「お前そうなのか」
作者「まさかアノことをばらさないですよね」
パンチ「ケッ、これはあっしだけの悩みじゃねえはずだ」
*
あれはあっしが昭和文具店に並べられていたころ。
昭和文具店は小学校のすぐ近くにあって店主は嫁に来たばかりの気立てのいい明るい
そんなある日、店の前でウロウロと何か迷っている子がいた。様子を伺いながら店の中の子供たちが帰っていくとまわりを気にするように入ってきた。そのときちょうど店主は品物を補充しようとしてたんだな。その子は背中越しにえんぴつと消しゴムをひとつまみしてポケットに入れやがった。あっしはびっくりしちまったぜ。
「オイお
「何か探しもの...」そう言いかけたときその子は店をかけ出していった。
「年上の女を泣かすとんでもねぇガキだ」
あっしは帳簿を見つめてため息をつく店主がかわいそうでならなかった。落ち着かない様子で天井を見上げては目を伏せしばらく考えこんでいる店主。すると何かを思いつき一枚の紙に文字をかいてショーケースにペタっと貼った。
2、3日がたった。
あのガキが母親に連れられて店に入ってきやがった。フン
「この子がお店のものをだまって持って帰ったみたいで申し訳ありませんでした」
消しゴムとえんぴつを差し出す母親。盗んだとは言わねえのにあっしはカチンときたが、店主はこうこたえた。
「ウチは学校帰りに寄ってく子供たちが多いんですけど、学校にお金を持っていくことはダメですよね。だからウチはこうしてるんです」
ショーケースの貼り紙を指さした。
(おかねをわすれた子は、こんど来たときでいいから、お店のひとにいってね)
「このあいだ言ってくれたもんね。今度きて払いますって。お母さんと一緒にきてくれるなんてお買い物のついでかな。うらやましいな」
母親はそうなの?と小声でその子の顔をのぞいたが、うんともちがうとも言わずにだまったまま。それでも店主はやさしく微笑んでいた。母親があきらめて「じゃ、これ代金・・」と言いかけたところで店主が「君が買ってくれたんだよね。君が払うんだよ」とその子にうながした。
その子は母親から代金を受け取った。
「はい。お金」
「たしかに。ありがとうございました」
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パンチ「どうでぇ。いい話だろ」
作者「今でもその貼り紙ありますもんね」
パンチ・げんさん「ナニ?」
作者「いえいえ、なんでも...」
げんさん「ところで何が悩みなんだ」
パンチ「にぶいねえだんな。いい女でしょ。店主」
げんさん「コラ、人妻じゃねぇか」
パンチ「文房具に人間の法律は通用しねぇぜ」
げんさん「だからって言っていいこととわるいことがあるぞ」
パンチ「なんだと、風穴開けられてぇのか」
げんさん「そっちこそ消されたいのか」
パンチ「前 気 なって だ そ よご 落ち いのか」
げんさん「〇玉○よ○の○ん○元○?お○さ○は○気○よ」
作者「 ○ ○ ○ ○ ○ ○」
(終ったのか?)
(そうみたい)
(おつかれ)