第14話 どすこい横綱セロハンの海
文字数 1,140文字
文房具界の横綱といえばセロハンテープ。
いや、正確にはセロハンテープとテープカッター。
とにかくどっしりと重たい。
せまい机で今日も場所取り合戦がくりひろげられる。
「こっちからここはぼくの場所だからね」
太郎が指で机の上に線を引いた。
「ほんなら、ここからこっちがオイの場所やね」
セロハンテープがそう言って、この日も仲よく1日がはじまった。
*
「さーて、えんぴつ削ろ」
帰ってきたまさとくんはさっそく太郎に手を伸ばした。
ガリガリガリっ
「おーい。セロハンテープかして」
パパさんがやってきてテープを切っていく。
スー、ぺりっ。
セロハンテープはもとの場所から斜めに動いた。
そして、太郎はもとの場所から離れて置かれた。
二人は顔を見合わせた。
「ちょっと。こっちにはみ出してるんじゃない」
太郎が苦情を言った。
「なんがや。オイは自分では動いちょらん」
セロハンテープも負けてない。
「ほんならあとで」
二人は視線を交わして腕まくりをした。
* *
その夜
「ひがーしぃ~、セロハンの海、セロハンのうぅみい」
「にいしぃ~、太郎山、太郎やぁまぁ」
呼び出しはげんさん、行司はコロロちゃん。
場所をとる文房具同士、意地のぶつかり合いがはじまった。
カレンちゃん、Bえんぴつくん、コンパ、ノートさん、のりちゃん、ハサミくん、そしてカベの上からガビョンくんもみんなが声援をおくっている。
太郎は腕をブンブン回してセロハンテープは四股を踏んだ。
「見合ってぇ。はっけよい」
やっほい! どすこい!
はげしくぶつかり、がっぷり四つになった。
テープカッターのギザギザが太郎のアゴに当たって痛いが、なんのその。太郎は思いっきり押した。するとセロハンの海の底がすぅっと動き、太郎は態勢をくずしながらも投げをうった。
「うわぁてなげぇ!」
「したてぇなげぇ!」
ほとんど同体で倒れた。
しばらくして、軍配は・・・
「太郎」
歓声が上がるなか物言いがついた。審判長の孫兵衛さんの解説は!!
「いまの協議について説明じゃ。軍配は太郎に上がったが、太郎の腕が先についたように・・・」
「ちょっと、行司の判定に不服なの?」
コロロちゃんが審判長に詰め寄った。
「まあ、聞きなさい。太郎の腕が先についたように見えたが、その前に、太郎のおなかからえんぴつの削りカスがはみでてセロハンの海が笑ってしまった。それで太郎の反則負けじゃ」
おおーっ。
セロハンテープは横綱の意地をみせた。
* * *
次の日
「こっちからここはぼくの場所だからね」
太郎が昨日よりちょっとだけ後ろに指で机の上に線を引いた。
「ほんなら、ここからこっちがオイの場所やね」
セロハンテープがそう言って、この日も仲よく1日がはじまった。
いや、正確にはセロハンテープとテープカッター。
とにかくどっしりと重たい。
せまい机で今日も場所取り合戦がくりひろげられる。
「こっちからここはぼくの場所だからね」
太郎が指で机の上に線を引いた。
「ほんなら、ここからこっちがオイの場所やね」
セロハンテープがそう言って、この日も仲よく1日がはじまった。
*
「さーて、えんぴつ削ろ」
帰ってきたまさとくんはさっそく太郎に手を伸ばした。
ガリガリガリっ
「おーい。セロハンテープかして」
パパさんがやってきてテープを切っていく。
スー、ぺりっ。
セロハンテープはもとの場所から斜めに動いた。
そして、太郎はもとの場所から離れて置かれた。
二人は顔を見合わせた。
「ちょっと。こっちにはみ出してるんじゃない」
太郎が苦情を言った。
「なんがや。オイは自分では動いちょらん」
セロハンテープも負けてない。
「ほんならあとで」
二人は視線を交わして腕まくりをした。
* *
その夜
「ひがーしぃ~、セロハンの海、セロハンのうぅみい」
「にいしぃ~、太郎山、太郎やぁまぁ」
呼び出しはげんさん、行司はコロロちゃん。
場所をとる文房具同士、意地のぶつかり合いがはじまった。
カレンちゃん、Bえんぴつくん、コンパ、ノートさん、のりちゃん、ハサミくん、そしてカベの上からガビョンくんもみんなが声援をおくっている。
太郎は腕をブンブン回してセロハンテープは四股を踏んだ。
「見合ってぇ。はっけよい」
やっほい! どすこい!
はげしくぶつかり、がっぷり四つになった。
テープカッターのギザギザが太郎のアゴに当たって痛いが、なんのその。太郎は思いっきり押した。するとセロハンの海の底がすぅっと動き、太郎は態勢をくずしながらも投げをうった。
「うわぁてなげぇ!」
「したてぇなげぇ!」
ほとんど同体で倒れた。
しばらくして、軍配は・・・
「太郎」
歓声が上がるなか物言いがついた。審判長の孫兵衛さんの解説は!!
「いまの協議について説明じゃ。軍配は太郎に上がったが、太郎の腕が先についたように・・・」
「ちょっと、行司の判定に不服なの?」
コロロちゃんが審判長に詰め寄った。
「まあ、聞きなさい。太郎の腕が先についたように見えたが、その前に、太郎のおなかからえんぴつの削りカスがはみでてセロハンの海が笑ってしまった。それで太郎の反則負けじゃ」
おおーっ。
セロハンテープは横綱の意地をみせた。
* * *
次の日
「こっちからここはぼくの場所だからね」
太郎が昨日よりちょっとだけ後ろに指で机の上に線を引いた。
「ほんなら、ここからこっちがオイの場所やね」
セロハンテープがそう言って、この日も仲よく1日がはじまった。