第14話 リン(20代)第1回03

文字数 1,184文字

んしょ。そうしましたら、こちら左脚からやっていきまーす。
はい、お願いします。
ちょっとオイルが冷たいかもしれないですけど、なるべく手であっためながら塗っていきますね。
ありがとうございます。
はーい。○○さんは店舗のほうには行ったことあります?
いや実は1回もないんですよ。
あ、ないんだ! まあ、でもけっこうあそこね、駅からちょっと地味に歩くんで。
そうなんだ。
そうなんですよ。
へえ。
じゃあ、力入れてやっていきまーす。
はい、お願いします。じゃあ、リンさんはもともとはそっちのほうにいたの?
もともとは、いました。
ああ。
最近は出張オンリーでやらせていただいております。
なるほど。
これ痛いですか?
いえ、大丈夫です。
大丈夫、これぐらいの力で?
はい。
大丈夫そうですね。OKでーす。けど、うれしいです。そんな、何回もチャレンジしていただいて。大丈夫でしたか? アハハッ
いやいやいや。
「こんな感じかーい」って思いませんでしたか?
いやいや、なんていうか、ひと言で言うと、すごくかわいいな、って思います。
ほんとですかー! なんかすごく写真のイメージとキャラ違うねってめっちゃ言われるんですけど。
ああ。なんかすごく明るい人なんだあって。
あ、ほんとですか。こんなしゃべる子だとは思わなかったってめっちゃ言われる。アハハッ
いやいや、ありがたいですよ。しゃべってくれると。
ほんとですかー!
前に1回、呼んだことあるひとで、ぜんぜんしゃべらないひとがいて。
あ、ほんと。静かでした?
そうそうそう。こちらが話しかけても「はい…」みたいな感じで。
あ、それじゃあ大変だね。アハハッ
そうそうそう。ちょっと何回か話しかけようとトライしたんだけど…。
あきらめました? 途中で。
心が折れましたね。
アハハッ あたしけっこうしゃべりすぎって言われますから。けど、あんまりしゃべらないのも気まずいかもね。
そうですよね。
ねー。1時間半ぐらい同じ時間2人っきりなわけだから、ある程度はね、しゃべってほしいかもしれない。
そうなんですよ。で、しかも、お店の紹介文みたいのがあると思うけど…。
うん。
そこには「すごくしゃべりやすい」って書いてあって。
アハハッ ウソやん、みたいな。
ちょっと違うんだけど、って思って。
アハハッ
ぜんぜん返事してくれないんだけど、って思って。
アハハッ それしんどい! 返事してくれないはつらい。
そうなんですよ。ひと言ですべて終わっちゃうんですよ。
「そうです」「はい」「違います」とか?
「はい」「そうですね」とか。
えー! ご機嫌ななめだったんですかね? アハハッ
ちょっと夜かなり遅くて3時だったんだよね。
あー、まあ、でも、普段から出勤してる子だったらね。
うん。
そっかあ。けど、いろんな女の子いますからねえ。
そのときの子に比べたらリンさんはほんと天使ですよ。
アハハッ めっちゃほめてくれるー。ありがとうございます。
ええ。
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