第25話 遠征試験2

文字数 2,068文字

第25話 遠征試験2

街道に並んでいる木の枝の隙間から陽の光が差し込む
木は、私達の遠征試験を歓迎しているように左右に音を立てながら揺れる
とても心地よい風と共にシェルピーがこう呟く
シェルピー『微かですが、見よ覚えのある魔力を感じます』
周りを見回すと、大勢の入門者達もざわつき始めていた
先頭を歩いていたカルドラさんがピタリ止まり呟く
カルドラ『来たか…』
シェルピー『もう一つは、見覚えがありません』
シェルピー『怖さを感じます』
シェルピーは、盗賊に捕まっても決して泣いたり不安を見せたりする様な仕草をしない強い子だ
カルドラ『諸君、警戒せよ敵だ』
?『召喚術下階デビルワーム』
カルドラ『一体じゃ無いな』
カルドラ『デビルワームは、群れで行動する肉食のミミズだ』
カルドラ『一体は後ろだそれも入門者を狙っている』
カルドラ『ブリザードウォール』
目の前に、巨大な氷の壁が出現する
シェルピー『属性変化ですか!』
シェルピー『水を氷にするのは、かなりの腕が必要です』
シェルピー『元々持つ属性を、全く別の性質に変えるので』
シェルピー『私の、お祖父様セザール様からこう教えられました』
シェルピー『炎は温度を変え赤から黄、白、青、黒になり全てを燃やす業火となる』
シェルピー『水は様々な、形状になりそれぞれ、氷・霧・雨・雪・泡・霰・雹・毒になり当たりを冷気で満たします』
シェルピー『風は、その勢いを強めやがて嵐となりまた、突風や暴風、竜巻や砂嵐それに豪雨などの環境によって使い分けられる』
シェルピー『雷は、迅雷によって早さを強め素早い攻撃を、また落雷で瞬間的な威力を発揮し、豪雷で勢いを強め範囲攻撃を可能にし雷鳴によって音にもなり汎用性に優れています』
シェルピー『地は、様々な形を作り出し壁や武器を一時的に作ることも出来ますこれは一般的な地の特徴ですが、種族によって文化との違いにより属性変化に関係なく元々の性質が違うものもあります動物の姿をした泥人形を作り出し自我を持たせて動かしたり、鳥の泥人形で空を飛んだり、植物を生やして操ったりも出来るとか…ちなみに人間は、属性変化によって可能になります。なので、地の属性は動かせるか操れるかになります』
シェルピー『光は、物体化と物質化で分けられます。物体化で、剣や盾などの簡単な身近な物を一時的に生成したり物質化で、光の柱を降らしたりまた、光の光線を放ったりと様々です』
シェルピー『そして、闇ですが人を操ったりして属性変化によって超常的な力を発揮する様です。』
カルドラさんの作り出した巨大な氷の壁は、怪物には壊せないらしくカルドラさんの魔法の音と共に外では激しい戦闘音がしている
すぐに聞き覚えのある声がする
すぐにレクサムだと分かった
レクサム『この中だな…この中からシェルピーの魔力を感じる微量だがパメラの魔力も感じる。出しているというかダダ漏れているというか…だが』
その時、カルドラさんが大きな声でこう警告する
カルドラ『俺の魔力は、特性によって皆に何かしらの影響を与えるかもしれないだから、俺の魔力で作った壁の中でじっとしていてくれ俺の魔力で作ったものには反応しないからな』
レクサム『面白そうじゃ無いか』
ニイ『あの不思議な雰囲気は、やはり特性でしたか』
カルドラ『特性が、どれくらいこの子達に影響するか…』
カルドラ『何故こんな特性持ったんだろうな』
敵の声が聞こえる
?『そんなの防いでしまえば、意味がないだろう結界術…』
レクサム『やはり入ろう嫌な予感がする』
ニイ『その様です』
ニイ『応用術 光の扉』
オウガン『流石は、公認魔法師様ですそしてお美しい』
シード『光の属性変化で扉を作り出しそれを応用術と組み合わせて物体を通り抜けられるようにするか…やはり凄いな』
シード『あたかも特性のように見せるか…』
氷の壁に光の扉が出来る
そして皆んなが、一斉に入ってくる
巨大な氷の壁の頂上には、何やら紫色の霧の様な何かがただよっていた
すぐ後に敵の悲痛な声が微かに聞こえる
?『体が腐っていく』
カルドラ『俺の特性は、ウイルス触れる生物・物体によって変化し対象が耐性を持たないウイルス性の気体を生み出すことだ』
カルドラ『俺が、対象に攻撃の意思を持っていたら攻撃性の有害ウイルスが攻撃の意思を持っていない者には、軽いが痒みなどの何かしらの影響を持つウイルスが巡るだろう』
カルドラ『これを俺が唯一持っている属性水の属性変化によって雨や霧で散布する』
カルドラ『この特性は、俺の魔力には伝わらず貫通しないが、その他の魔力には溶け込むように出来ている』
カルドラ『たとえどれだけ術(すべ)を磨こうが属性で対抗しようがたちまち貫通し対象に行き届くだろう』
カルドラ『これは、人や動物なら免疫を持たない様々な毒になり植物ならたちまち枯れる金属も腐食によって溶けるだろう』
カルドラ『だが、これはお前らの様な地に落ちた連中に対してしか使わない』
カルドラ『不気味な雰囲気それは、俺の危険性を他者に知らせるための癖だ』
カルドラ『俺は、それを守って生きている』
レクサム『恐ろしい特性だな』
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