真夜中万華鏡

文字数 371文字

刈り取った星をいくつか、ほんの少しだけ削り取り、それを細かく砕く。
そして薄い枠の中に落とした。
反対側から覗き穴を覗いてくるくる回す。

真夜中万華鏡の出来上がり。
星の光だから、夜にしか見れない。

「何してるの?」

星刈り場の草の上、女の子にそう声をかけられた。

「万華鏡を見てるんだよ?」
「嘘。こんな暗くちゃ見えないよ。」
「これは星のかけらの万華鏡だから、夜の暗い時にしか見えないんだよ。」

そう言って真夜中万華鏡を渡す。
女の子は半信半疑でそれを覗いたが、その顔がすぐに笑顔になる。

「綺麗!」
「あげるよ。ただし大事にしてあげてね?」
「大事にしないとどうなるの?」
「光らなくなる。」
「ええ?!何で?!」

そう言われ苦笑する。

星空を見上げた。
さっきまで、気の遠くなるほど長い梯子を一人、登っていた宇宙を。

「誰かの大切な夢や希望だからだよ。だから星は輝くんだ。」
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