最終話

文字数 455文字





「変態性もコンテンポラリーも僕には無縁だな。どうやら僕は〈オールドスクール〉らしい」
 オールドスクールとは、昔ながらの価値観を持った者や、プレイヤーを指す言葉だ。
「ヤスさん、なにひとりでぶつぶつ言ってんすかぁ?」
「いや、本当に独り言だよ、ごめん、コータ」
 僕らは再び、風船爆弾が投げ飛ばされた場所にやってきた。
 台座に乗っかり、僕は腕を伸ばす。
「ここから飛ばしたんだなぁ」
「そうすっすね」
「決めた」
「なんすか、今度は急に」
「僕はもうちょっとだけ茨城県に残って、勉強する日々を送るよ」
「あはは。勉強したら、その次はどうするんすか」
「さあね。勉強が過去の清算をするだけじゃなく、未来に繋がるといいんだけど」
「ネガティブすね」
「まあね、絶賛失恋中だからさ」
「誰に絶賛なんですか」
「僕の中で、僕だけに絶賛された失恋」
「はいはい、妄想、乙!」
「全ては妄想なのかもな」
「上手くまとめようとしないでください」
 こうして僕は、死ぬまで勉強をしていこうと、かなり遅いスタートではあるが、そんなことを考えていたのであった。



(了)
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