第158話 龍の印
文字数 454文字
自分の中で、何かが激しく揺り動かされた。
灼けるように熱くなる額、そこに龍の鱗の印 が浮かび上がってくる。
甦る遙か古 の記憶。
ああそうだ。幾世代も前、自分は天女を守護し、大空を翔ける龍だった。
体の奥深く眠っていた力が目覚め、あふれ出してくる感覚と共に、伊織が手にしていた刀が輝き始めた。
刀身は輝きを増し、まばゆいまでの金色の光を放つ。
伊織は理解した。これこそが魔を封じる光の剣。
破邪の剣とは最初から存在するのではなく、自らの意志と力で作り出すものなのだ。
「桜花を離せ!」
言い放つと伊織は刀を構えた。
たとえ刺し違えてでもいい。桜花は守り抜いてみせる。
「その刀は……」
一瞬、浅葱の顔に驚きが浮かんだが、すぐ微笑に取って変わった。
「……面白い」
桜花を突き飛ばし、相対するように自らも魔剣を手にする。
浅葱の手から逃れた桜花は、激しく咳こんで崩れ落ちた。
灼けるように熱くなる額、そこに龍の鱗の
甦る遙か
ああそうだ。幾世代も前、自分は天女を守護し、大空を翔ける龍だった。
体の奥深く眠っていた力が目覚め、あふれ出してくる感覚と共に、伊織が手にしていた刀が輝き始めた。
刀身は輝きを増し、まばゆいまでの金色の光を放つ。
伊織は理解した。これこそが魔を封じる光の剣。
破邪の剣とは最初から存在するのではなく、自らの意志と力で作り出すものなのだ。
「桜花を離せ!」
言い放つと伊織は刀を構えた。
たとえ刺し違えてでもいい。桜花は守り抜いてみせる。
「その刀は……」
一瞬、浅葱の顔に驚きが浮かんだが、すぐ微笑に取って変わった。
「……面白い」
桜花を突き飛ばし、相対するように自らも魔剣を手にする。
浅葱の手から逃れた桜花は、激しく咳こんで崩れ落ちた。