セリフ詳細

ブラッドベリでSFと言えば、『火星年代記』が有名だけど、物語の中で、火星を植民地とする地球人——と言ってもアメリカ人——は先住民族である火星人と戦った末に、意図せず持ち込んだウィルスで全滅させてしまうんだ。

同じように宇宙での争いを描いても、ハインラインは戦闘そのものを描くけど、アシモフは戦闘で人が亡くなっていく様子はあまり描かないらしいね。一方で、ブラッドベリは戦争を描くことで、戦争批判や文明批判をしたかったんじゃないかな? 特にカリフォルニアやハワイ、アラスカと自国の領土を広げていったアメリカに対してのね。


この『華氏451度』は、全体主義的なディストピアに対する批判だとも言われるけれど、常時流れてくるメディアに対して抵抗できない私たちの弱さや、書かれた当時のアメリカで横行していた、言論の自由を脅かす思想の検閲に対するアンチテーゼもあったと思うよ

作品タイトル:苦手な人のためのSFセレクション

エピソード名:その5『華氏451度』とブラッドベリ

作者名:加藤猿実  Sarumi

30|SF|完結|15話|41,200文字

SF小説, 対談, 大学教授, 女子大生と高校生, 初心者向け

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「SFってとっつきにくいですよね」
「SFってサイエンス・フィクションでしょ?」
「もう科学万能の世の中じゃないし,今さらSFってね?」
「たまには読んでみたいけど、何から読んだら良いのかわからない」
そんな風に考えている皆さんのために、SFファンでもあるロボット工学者の森谷幸弘博士にお話を伺いながら、先生がお薦めするSF小説を紹介していきます。
(森谷先生は5年後に小説『Ai needs Yu』に登場する架空の人物ですので、悪しからず)

追記:グレッグ・イーガンがないのは何故か? と友人に問われました。筆車は大好きな作家ですが、森谷先生はイーガンの登場以降SF小説は少し難しくなったと感じているようです。