セリフ詳細

確かに、現実の事象をいったん、抽象的なレベルにしてから吟味し、再度『肉化』、つまり自分の存在している現実へと着地させるのは大切なのです。離陸したら着地しなきゃいけないからなのです。でも、R.D.レインの言葉を援用するならば、『肉化された自己』という地に足がついた自己ではなく、空疎で空洞化された、抽象性でできた『肉化せざる自己』がそのひとの内的世界になってしまうと、それはスキゾイドだとされるのです。なぜかというと、それは『離人』の一種だからなのです。抽象レベルの世界に脳内が常にいると、現実感が希薄になっていってしまうのです。『肉化』された、言い換えれば「現実に感覚がある」世界に生きていかなければ、それは本当は『偽りの自己』の始まりなのです。演技性パーソナリティでもあるまいし。なにをやっているのですか、理科。肉化されざる自己を生きる者が、現実を確かめるためにリストカットしてしまうなんて、ざらにあることなのです。気づいているでしょうが、家の外に出るのです!

作品タイトル:死神はいつも嘘を吐く

エピソード名:アルケーから遠く離れて(上)

作者名:成瀬川るるせ  rulerse

6203|学園・青春|連載中|122話|210,992文字

死神, ガールズラブ, 百合, 社会・思想, まったりタイム, 現代ファンタジー, チャットノベル大賞, 宅飲み, 日常, 創作論・評論

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今日もまったりライフの、田山姉妹と居候の死神少女が織りなす一幕劇。忍び寄る影には評論のチカラで立ち向かえ。死神少女たちの青春×思想に、抹茶ラテを添えて綴る日常ファンタジー。