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坂本屋の手代が合鍵で質蔵を開けると、中で番頭が腹に包丁が刺さった状態で死んでいた。番頭の懐には蔵の鍵があった。 蔵の鍵は、番頭が持っていた通常使用の鍵と合鍵、二つしかない。 番頭が死んだ夜、合鍵は鍵のかかっている帳場箪笥の中にあった。帳場箪笥を開けられるのは主人だけだ。だが、その夜、主人は出掛けていていなかった。 権助が死んでから蔵に施錠し、その鍵を権助の懐に入れたとしたら、密室状態の土蔵にどのようにして入ったのか。 同心と岡っ引きが、下手人を捕まえるために奔走する。
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