ファンレター

短期集中連載、おつかれさまでした!

『眠れないのは誰のせい』全話拝読しました!
短期集中連載、おつかれさまでした!
わたしがお送りしたお手紙への「変則的な返信」でもあるとのこと、どうもありがとうございます!!

成瀬川さんと女性たちとの関係については、それぞれ個別の事情がおありで、わたしが口を差し挟む問題ではないので、それについて感想を書くのは控えたいと思います。

成瀬川さんにとってはフーコーが、これまでの実体験を説明する理論であり、その苦しさ乗り越える武器のひとつであるのだな、と伝わってきました。
第15話の「僕は抗う!」という力強い宣言が、成瀬川さんの人生をあらわしていると思いました。

という内容の少し長めのお手紙をしゃべログに書きましたので、そちらをお読みいただけましたらさいわいです。
お体ご自愛くださいね。引き続き応援しております。

返信(1)

mikaさん、暖かいレター嬉しいです!! そうなんです、(今の僕の筆力ではまだ歪に直接理論を出すしかなかったのですが)、「僕は抗う」というその時に僕が手にした武器はミシェル・フーコーの哲学でした。コロナ禍でフーコーの〈生権力〉がクローズアップされたのは、タイミングもあったのですが、それと平行して、死後出版の流れがあります。僕が全巻持っている『フーコーコレクション』は、1994年に刊行された『フーコー思考集成』をテーマ別に組み直したものです。それがあって、1997年から2015年の18年間をかけて、『フーコー講義集成』が刊行されました(僕はまだ未読です)。その後、2018年に『性の歴史4 肉の告白』が出版されて、流れで読んできたひとたちが時代との呼応もあって盛り上げたという経緯があるんですね。昔、僕は『死神はいつも嘘を吐く』というチャットノベルで『地下室からのコナトゥス』というジュディス・バトラーの思想の前哨戦を語ってそこで頓挫したことがあるのですが、バトラーは著書『欲望の主体』の最後で、問題の解決の糸口をフーコーに探ることをしている。
抗う、という言葉のチョイスは、カミュからです。
実は僕は昔、カミュの全作品を読む、ということをして全巻読破後、勢いでカミュ=サルトル論争も読んだんです。そこで焦点になったのが、政治で応援しているところが政権を取りたいサルトルに対して「政権を取ったあとどうするの?」ってカミュが訊くんんです。逆にカミュはどうしたいの、って帰されたらカミュが「僕は抗い続ける。政権を取ったらそこにも抗うことになるだろう」と、ちょっとトロッキーとかカントみたいなことを言うんですよ。永続革命や永続平和のために、みたいな。それですね。

いただいたレターで思うところがたくさんあります。この作品がmikaさんのレターへの返信だったのは、僕の個別の酷い性愛(恋愛と言うよりも)の話をまず書かないと、哲学や思想をなんで僕が学ぶに至ったかわからないのですが、読むことによってこの「役に立たないと言われがちなもの」が強力な「実学」になる、というその例を、僕自身をサンプルに観ることが出来るのではなかろうか、という〈部分〉が、返信だったのですね。
エッセイの主題はまた違うので「変則的」な「返信」にならざるを得なかったのですが。

長くなったので僕も自分のしゃべログに書きますね。ではでは。