【戯曲】闇の左手(ル=グウィン原作/オリジナル訳に基づく二人芝居)

[SF]

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宇宙のさいはて、極寒の惑星。スパイとみなされた地球からの使節は、ただ一人の理解者である現地人の宰相と、大氷原を横切って決死の逃避行を試みる。雪と氷に閉ざされた死の世界で二人を待ち受けるものとは……。
日本では『ゲド戦記』の原作者として知られるル=グウィンの、真の代表作『闇の左手』。その壮大な物語を、かぎりなくストイックな表現で二人芝居の朗読劇にしました。
未村明によるオリジナルの翻訳に基づいています。勝手な二次創作ではなく、正式に原作者の許可を得ています。生前に台本をお見せしたら、大変喜んでくださいました。
(人形は園英俊(そのひでとし)氏の作品です。)

(ここから小声)じつは、原作小説の既存の日本語訳には、訳し間違いが多々あります。少なくとも、固有名詞の発音は私の訳のほうが「正しい」です。ル=グウィンさんに(生前)直接お会いしてお訊きしました。ご本人による朗読テープも私は持っていて(残念ながら絶版)、随時確認しています。
例1.主人公二人のうち一人の名前は、「エストラヴェン」です。冒頭の「エ」にアクセントがあります。(ハ●カワ訳のように「えすとらーべん」ではありません。)
例2.もう一人の主人公ゲンリーの所属する惑星同盟の名前は、「エキュメン」です。同じく冒頭の「エ」にアクセントがあります。(ハ●カワ訳のように「えくーめん」ではありません。)
さらに詳しい話は別編「もっと『闇の左手』」をご覧ください。

ファンレター

4幕6~8場を読了しました

 4幕6~8場はオリジナル展開ですね! セレム……。彼の冷静な判断と、根底に流れるゲンリーへの愛を感じます。原作より、セレムがゲンリーに対し能動的に「生きろ」と言っているようで、このオリジナル展開も大好きです。小説と戯曲、せっかく表現方法が違うのだから忠実になりすぎずに、書き手の主観やオリジナルがあった方が楽しいです。
 戯曲難しいですね。実は学生時代、かっる~い気持ちで学生演劇のサークルに入り「脚本かきたいで~す」と言ってみたものの、全然書けず、そのうちピンスポットのスナイパーのような魅力に興味が移行し結局1公演ピンスポットをしただけだったという真っ黒歴史があります。(笑)脚本は、小説のようにかき込めばいいわけではないということに愕然としました。脇を甘くして公演ごとに(時には原型をとどめず)変われる余裕を持たないといけないし、それでも根底に確固とした意志や美学を持たないといけないし。あ、無理だこりゃと尻尾を巻いて逃げました。
 美しさと簡素さ、そして情熱を持つ脚本を読ませていただき本当に感謝です。最後、涙で読めないかも。

返信(1)

ありがとうございます! そうなんです、これあくまで台本なのです。まさに仰るとおり、書き込みすぎてはいけなくて、「脇を甘くして」おいて俳優がそこを埋めるのですね。私も脚本を初めて書いた頃は書き込みすぎてました。あれから十数年書いてきて、やっとこつがつかめてきたところです。
(ここから小声)そしてね、ちょっといいことを思いつきました。「資料集」のほう、引きつづき読んでいただけるように細工しようと思うんです。私、励ましていただいてやっと元気が出て、また独りに戻ったらとてもこの翻訳仕上げられないです(涙)。ちょっとがんばってみてますので、お待ちいただけたら嬉しいです。