五月の死神

[ミステリー]

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20件のファンレター

――佐伯さん、あなたずいぶんね。せっかくお手紙さしあげたのに知らんぷりして……。
昭和初期のミッション系高等女学校。
クラスの女王・杠和子と、「死神」とあだなされる佐伯文枝。
二人の少女の関係は、意外な方向に動き始める……。

※本作は昭和八年(1933年)に起こった「三原山女学生心中事件」をモチーフにしていますが、作品内容は作者の純然たるフィクションです。

ファンレター

裏・乙女の港!

「少女の友」関連の小説は「乙女の港」(中里恒子/川端康成)を読んだことがあるのですが、南ノさまの「5月の死神」の1話目を読んだときに「これは『裏・乙女の港、大人の少女小説』だ!」と直感。
以降毎日追いかけています。

古き良き少女小説から「夢、希望、理想」を剥ぎ取って、その後ろに隠されていた「少女たちの欲望、生きづらさ」にフォーカスしたときに現れ出るのが、「5月の死神」に描かれている、はっとするほどの痛ましさと美しさなのかもしれない……と感じています。

物語のタイトル、時系列、そして発想元となった事件……これらを勘案すると「不穏さしかない」という感じで、今後の展開から目が離せないです。

是非、結末を見届けたいと思います……!

返信(1)

羽庫ふみさま
ありがとうございます!
「乙女の港」!この元祖百合小説とも称される作品は、おっしゃる通り、私の重要参考文献の一つです^^
この作品、以前は川端名義になっていましたが、実際には、ほぼ中里恒子さんの作品なんですよね。羽庫さんが(中里恒子/川端康成)と、中里さんの名前を川端より前に書いておられるところに、とっても共感致しました^^
また、これも本当におっしゃる通り、『少女の友』という雑誌には、「夢、希望、理想」といった明るく澄んだ雰囲気があって(それは戦時色が強まる時代に、あえて純粋な美しいものを少女に提供しようという雑誌の編集方針だったんですよね)、もちろんそれが大きな魅力になっているわけですが、そういった世界を反転させると、若者の自殺が「ブーム」となるほどだった、閉塞的な時代背景が浮かび上がってくる気がしますし、そうした時代背景について調べれば調べるほど、なんだか「今の時代」と似ているような気がしてしまうのです……。
三原山事件に象徴される「生きづらさ」(←正にこれですね)は、そのまま現代とリンクしている、というのが私なりの結論……なんて言うと大げさですが(汗)、たとえささやかでも、そういう結末に辿り着きたいとひそかに願っております。
後半も、引き続きお付き合いいただければ幸いです。
よろしくお願いいたします!