ラピスの再生論

[SF]

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3件のファンレター

――何かを忘れたように淡々と陽が昇り、月が出る。

七つの都市と七万の人口を抱える街、新都ラピスは今日も平穏だった。そこは、共同体を保つために人間が「生産」され「役割」の名の下に歯車として働く、人と社会の使役関係が逆転した世界。ラピスの最高権力機関・統一機関に所属するリュンヌは、読書家で人との関わりを苦手とするところ以外、ごく一般的な研修生として暮らしていた。19歳の秋、幹部候補生に抜擢される研修生が発表される日の朝に、異言語を話す少年ティアがやってきたときから、彼女の日常は、そしてラピスという世界は、徐々に変化していく。

形を変えゆく世界のなかで、自身を変革してゆく人々の群像劇。

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リュンヌ・バレンシア(ルナ)…… 
本作の主人公。統一機関の研修生。事なかれ主義で厭世的、消極的でごく少数の人間としか関わりを持とうとしないが物語の中で次第に変化していく。本を読むのが好きで、抜群の記憶力がある。長い三つ編みと月を象ったイヤリングが特徴。

ソレイユ・バレンシア(ソル)…… 
統一機関の研修生。ルナの相方で幼馴染。ルナとは対照的に非常に社交的で、人間関係を大切にする。利他的で、時折、身の危険を顧みない行動を取る。明るいオレンジの髪と太陽を象ったイヤリングが特徴。

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ファンレター

初めまして

ラピスの再生論をつい近年読ませて頂きました。
本来なら全作品を目に通してからレターを送るべきですが、非礼をお許し下さいませ。
膨大な長さを誇った大作だと感じました。今の世界と異なる価値観の中で主人公二人がやりとりする様は青春だなあ、と感じました。
又、絶望の中において人類の粘り強さを示した一種の叙事詩にも見えました。
最後の終わり方は印象的でした。太陽と月を巡る物語として後味の良い終わり方ですね。
ネタバレは避ける様にしますが、意外なキャラクターが意外な一途な強さを持っていたのも良い表現です。人物一人一人に個性があり、しっかりとエピローグも描かれていて良かったです。
少し話はずれますが、自分の短編小説の中で「ラピスの再生論」と言う名称を登場させています。
ちょっとした宣伝になれば良いと言う意味合いも含めて小説の中に登場させていますが、もし先生が不快と感じられたら削除します(或いは直接的単語を用いない)ので、おっしゃって下さいませ。
長々と失礼しました。

返信(2)

佐藤様初めまして、素敵なレター頂きありがとうございます。「ラピスの再生論」について、通読した上での感想を頂くのは初めてでして、非常に舞い上がっています。多少思いの丈が溢れすぎてしまうところもあるかもしれませんが、返信させて頂きます。
まず、長いうえに登場人物の多い物語を最後まで追っていただけたことが本当に嬉しいです。ありがとうございます。「ラピスの再生論」は、物語の切れ目がなく、10章+断章の全てでひとつの物語として書かれています。物語の最初から最後まで目を通して頂けたこと、改めて嬉しく思います。
また、主人公たちやサブキャラクターの個性や性格にも注目していただけて嬉しいです。意外に一途な人、彼かな……とは思いつつ。色々な考え方の人が、ラピスという現代社会とは違う世界を生きていて、それぞれに物語があったことを感じて頂けたようでとても嬉しいです。
最後に、作中にタイトルを引用頂いた件について。短編のほう拝見させて頂きましたが、こういった形で自分の作品が他者様の作品に登場してくるのは、非常に嬉しいです。ラピス作中でも「孤独だった自分と世界が不可分になる」といった風な表現を書きましたが、まさにそのような感じと言いますか……ともかく有難い限りなので、どうぞ引用なさってください!
※念のため、「ラピスの再生論」というのが架空の作中作タイトルではなく、元ネタがある点のみ補足いただくと、佐藤様の作品のみを読まれた方にも勘違いがなくて済むかなと思います。
最後になりましたが、改めて。丹精込めて作った物語が、他の方のもとに届いたと分かり、ほんとうに嬉しいです。お読みいただき、また、素敵な感想いただきありがとうございました!
織野先生へ。
ご助言、ありがとうございます。
又、小説を読んで下さり、重ねてありがとうございます。
文末に註釈をつけて実在の作品と明記させて頂きました。
もし、問題がありましたらおっしゃって下さいませ。
そうですね。彼も一途な人だなあ、と思います。
自分が意外な強さと感じたのは鳥の主人さんです。鳥と言う表現も精確ではありませんが。
特に偽ってまで自分の最期を決めようとした砂の場面が印象的だったのですね。
こういうのは変に思われるかも知れませんが、鳥の主人さんの姿に一種の憧れを見たのですね。自分も彼女の様に強くありたい、と。
先生は個人的にSFなどに強い方だとお見受けします。
ノベルデイズでも活躍の場が広がるのを期待しております。
では、長々と失礼しました。