遺 品

作者 TamTam2021

[創作論・評論]

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1件のファンレター

ネットオークションのお陰で、今まで手が届かないと思っていた一点ものの絵画や初版本、直筆原稿が手に入るようになりました。それはコロナ禍の巣ごもりの影響もあるのですが、これは私の生活を一変させました。私の身の周りはそれらで埋め尽くされるようになり、そこに身を置いているととても満たされた気持ちになります。同時にそれらはかけがえのない遺品であり、この世界そのものが遺品ではないかと思えるようになりました。

ファンレター

命のリレーを感じました。

こんにちは。コロナ禍で家で過ごす事が多くなった中で、TamTam2021さんは詩やエッセイを書かれるだけではなく、美術作品を集め、鑑賞する事にも喜びを見出だす事が出来たのですね。とても高尚で素晴らしいと思いました。以前にも絵画について書かれた詩が投稿されていましたね。その詩の中でも触れられていたと記憶していますが、今回の詩を読み、更にTamTam2021さんがそれぞれの絵画や書物に対して、元の持ち主に敬意を払い、大切に受け継いだという決意を感じました。誰かが大切にしてきた物には、その人の魂が宿って、それはもう無機質な物質ではなくなるのだと思いました。この風景や建物も誰かが思いを込めて作った創造物であり、人類も脈々と受け継がれた多くの先祖からの命の遺品なのですね。特に最後の一節にはハッと気付かされ、心を揺さぶられる思いがしました。心の底から泉が涌き上がるような感動をありがとうございました。

返信(1)

 いつも励まして頂いてありがとうございます。一つの絵画にも人間と同様、様々な過去や運命があるのだと思います。遥かな流浪の果てに今、私の手元にあることにとても深い人知を超えた縁を感じます。これは人間どうしの出会いにも他ならないものであり、無数の出会いの中のごく限られたえにしが今の私を形作っているのだという神秘を感じさせられます。そして、私たち自体が過去から未来へと向かう開かれた「遺品」であることを想い、人間存在の不可思議さに想いを馳せます。大いなる命の循環の中で自分の存在を俯瞰して見ることもたまには必要ではないかと思います。