無言電話

[現代ドラマ・社会派]

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9件のファンレター

お父さんがいなくなったのは、私が中学2年生の時だった。

ファンレター

無言電話の背景

堅実で倹しい母子の暮らしぶりに思いを寄せながら拝読しました。
ある日とつぜん家族のだれかがいなくなっても、残されたひとたちの生活は続いていくし、続けていかなくてはならないのですよね。
嵐のあとの凪のような、表面上は緩やかに流れる日々。とてもリアルに感じました。
そしてまさか、生死不明の家族の消息をこんな形で知らされることになるとは……。そりゃ真顔になりますよね。
お母さんの「もう自由にさせてもいいかなって」という言葉から、行方をうすうす察していたのかな、と思いました。もしかしたら捜索願も出されていないのかも、と。

日々の食事も、学費のことも、互いに相手を思いやって協力し合う姿に心を揺さぶられました。こういうのにすこぶる弱いです……(涙)
こどもに対して異常に過保護になったり恨み言を聞かせたりすることなく、こどもの意思を尊重して適度な距離感を保つお母さん本当にすごいと思いますし、そんなお母さんがあの状況で口にした、汐里さんの将来の結婚へのアドバイスはズシンと胸に響くものがあります。

そして、ラストシーン。淡々とした描写のなかに汐里さんの抱える鬱屈が見事に表現されていて秀逸でしたし、同時に少しホッとしました。
ずっと「いい子」でいる必要なんかない。わずかでも吐き出せる先があるならそうしたほうがいい。そのくらいは相手も受けとめてくれるはずです。この場合はとくに。

重くなりがちなテーマも、佐久田さんの手にかかれば恨み節で終わらずなんらかの救済や浄化作用がはたらくので、ほろ苦いけれど救われたような読後感が心地よくて癖になります。
これまでに書かれたコンテスト用の作品、短編集として一冊にまとめて発行していただきたいくらいです。折に触れ、読み返す一冊になること間違いなしです(*´ω`*)

【追伸】
ネギラーのわたしたちにとってお味噌汁の刻みネギは欠かせないアイテムですよね!(力説)
お母さんの「お味噌汁飲んでおけば大丈夫説」わかりみが深いです~。
最近になって土井善晴先生の偉大さをあらためて感じていたところなので「お味噌汁」というワードにグッときました(*´-`)

返信(3)

桐乃さん、深くきめ細かに読んでいただき感謝です!
「扶養照会書」をきっかけに、ペンディングしていた問題を整理(家族関係の断捨離?)することができた、という短編になりましたが、この「扶養照会書」というものはなかなか闇が深いようです。
今は改善されたみたいですが、毒親のDVで逃げ出した子供がどうにも生活が立ちいかなくなってしまい、生保を申請したところ「扶養照会書」が毒親へ発送され居場所をつきとめられてしまい、またDV被害に遭ってしまったとか……。
また、それが怖くて生保を申請できずに困窮しているとか……。

桐乃さんが最初に書いていただいた、「~残された人たちの生活は続いていくし、続いていかなくてはならない」は桐乃さんが仰ると重みがあります。
心に傷を負っても、日々の生活の営みは続けていかなくてはならない、その諦念めいたものを書きたかったので。

実は書かなかった裏設定があるのです。
お母さんの若かりし頃の話。お母さんの親友とお父さんが恋人同士だったのですが、お母さんがお父さんを好きになってしまい、横恋慕(死語?)し妊娠。(お父さんは顔はいいけど、ちょっとはっきりしないタイプ)
それで結婚し子供(汐里)も生まれたけど、お父さんの心は未だ親友と繋がっているのを、お母さんは感じる。そして実際も続いている。
相思相愛の二人を引き裂いた自分が悪いとわかっているし、娘にも申し訳のないことをしたという思いを、心の奥底にずっと抱えている。なので、ちょっと娘(汐里)に対し引いているからあまり感情的に怒ったりはしない。
そんなある意味“優しい”お母さんなので、娘はお母さんを助けたいと思うし、反面、本心をあまり見せないのでちょっと気を遣っている……
すみません、長々と(大汗)

ラストの汐里の抱える鬱屈を感じていただいて、嬉しいです。
「ずっといい子でいる必要なんかない」本当にその通りです。
そして私ごときにもったいないお言葉、滝汗かきながらも嬉しい……この言葉、マイつづらに入れさせていただきます。
お忙しい中、温かく励みになるお手紙をありがとうございました! 急に暑くなりましたのでお体ご自愛くださいね<(_ _)>

【追伸】土井善晴先生は偉大ですよね! 難しくしなくていい、と作られる一汁一菜レシピがとてつもなく美味しそうなんですよね~
そう、(声を大にして)刻みネギは欠かせないアイテム!!(^_-)-☆
あっ、なるほど、そういう裏設定があったのですね!(驚)
どうやら三角関係っぽいなとは想像しておりましたが、そうでしたか。わたしはてっきり元親友のほうがお父さんに横恋慕して……という妄想をしていました(^^;)
そうなると、お母さんが汐里さんに伝えた結婚についてのアドバイス、よりいっそうズシンと響いてきますね……。

「扶養照会書」についてですが、ぶっちゃけ、このシステムって必要? と疑問に思ってしまいます。
といいますのも、生活保護を申請する時点で、そのひとはすでにもう崖っぷちに立っているようなものだと思うのです。
頼れる親族がいるならとっくに援助を求めているでしょうし、万策尽きての駆け込み寺みたいなものだと思っているので。
(不正受給などの問題があるため審査が厳しいというのもわかるのですが……)

佐久田さんが挙げておられる、DVの被害者が加害者に現住所を知られるのを恐れて申請できない、というのも問題ですよね。生活保護を申請したことを親族に知られてしまうのが嫌、というひともいるでしょうし。
社会的弱者のプライバシー保護というのは、残念なことに、かなり軽視されているように感じます。

また長々とすみません。
どうぞ読み流してくださいね!(ペコッ)
裏設定を読んでいただき、ありがとうございます(^^;

本当に桐乃さんの仰る通り。
(不正受給問題はあるし、審査は必要だけれど)追い詰められているのに声を上げない人々が、一人でも多く救われることを願います……(>_<)

【追伸】
桐乃さんのnote「読書日記」とても読み応えあって楽しいです。
本文はもちろん面白いし、現時点でのコメント【追記】の締めもアクセントになって、コース料理のような満足度?お得感?
桐乃さんの文章は、常に読者を意識し執筆されているようにいつも感じています。
読んでいる間、おもてなしを受けているような心地よさ!(*^▽^*)