ダイアローグの悪魔

[現代ドラマ・社会派]

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2,006

6件のファンレター

辻 莉々(つじ りり):主人公 勉強はあまり好きじゃない
沼田 澪(ぬまた みお):クラスメート クリスチャン

『ダイアローグ』:自殺防止を目的に、政府が試験的に運営しているAI相談アプリ

※コロナ禍での疫病退散祈願により、アマビエが妖怪としての格を上げ力をつけたように、ユーザーたちの強い思念を受け、『ダイアローグ』アドバイザーキャラたちが半実体化(仮)。そしてコード上の紐づけが解除され、ひとり歩きを始めそう。(妄想)

ファンレター

Open Dialogue

これはたぶん、念頭に置いているのは斎藤環先生も頑張っている『オープンダイアローグ』(Open Dialogue:開かれた対話)ですよね。斎藤先生の書いたレジュメからコピペすると、「治療チームは危機にあるクライエントの自宅に赴き、危機が解消するまで毎日会いつづける。治療のプロセスにクライアントや家族を巻き込み、臨床家たちは個人ではなくチームで働く。入院治療と薬物療法を可能な限り行わない」という統合失調症のケア技法。佐久田さんのこのお話内で「サ終」してしまうのも、オープンダイアローグが日本で微妙な立ち位置なのを示している……と思いきや、この物語はスマホアプリの話を起点として、各々が動き出す。むしろ、ここからが治療開始なのだ、という風にも思える。そういう意味でカリカチュアライズされた読みも出来ますよね。
昔、社会学者に見田宗介って学者さんがいて、「見田社会学」と呼ばれていて、一派を形成していました。今で言うアニメ『ゆるキャン△』みたいな感じというか、キャンプファイアー囲んでアコースティックギターで伴奏してみんなで手をつないで歌いながら踊ったりたくさん会話をする。服装はエスニック柄のニット系、って感じが多い風の。で、見田宗介自身は論文で宮澤賢治のイーハトーブに思いをはせたようなこと書いて、学生はそれを読みながら、っていう。
オープンダイアローグって聞いたとき、「見田宗介の波動を感じる。大丈夫か」(見田宗介が嫌いなわけではないです)と思ったのですが、別物なのが最近わかった感じです。
いや、薬物療法って対処療法で、寛解はあるけど治らない上に、長年処方薬を飲んでると身体は震えるの不可避だし、クライアントの僕自身「なにかおかしい」と思い続けているし、メタ的に考えさせられる作品でした。
なお、僕のなかで「エリエリレマサバクタニ」と言えば芥川龍之介です。青空文庫にあるかも。

返信(1)

るるせさんの膨大な知識量を目にして、正味な話、ビビるときが多々あります、今もです。
私は無教養なので、「カリカチュアライズってなんだっけ?」と調べながら読んでいる有様ですよ。
あ、斎藤環先生は好きです、『やってみたくなるオープンダイアローグ』『自傷的自己愛の精神分析』好き。ズバッと言い切るのが面白いんですよね。

実はこの話、原型となるテイク①は去年の10月に書きまして。着想はなんと「ポケモンGO」なのです。
厚労省が引き籠りを外出させる対策として、いくつか対象スポットを設定しまして。そこに行ってスマホでログインすると、好きなキャラが現れてお喋りできるというもの。最初のタイトルは『対象スポットの天使』。
埋立地のとあるスポットに、ユーザーの引き籠りの少女たちが集まって、少女同士は会話しないけど、あの子またいるな、とかお互い認知している。
ある日大規模な首都直下型地震が発生。厚労省は災害対応に追われアプリの復旧どころではない。それでガチユーザーのヒロインとサブヒロインが、ネットの噂を頼りに対象スポットを探すため、瓦礫だらけの都内を歩き回る。先々でボランティアもするようになり逞しくなるというような話。
ちょっと絵空事だなーと思って留保していたら、1月に能登半島地震が発生し、「この設定はもう使えない」とお蔵入り。それを今回リノベして成仏させてみました。
長々とお蔵入りの話を書いてしまいました、すみません。

あ、「エリエリレマサバクタニ」に関して芥川龍之介が書かれているのですか、休みの日に探してみます。
るるせさんのように文学、哲学、歴史、民俗学、精神医学等に精通していると、世界の解像度が上がりますね。刺激的なお話をありがとうございました!