早退届

[創作論・評論]

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18件のファンレター

旅に出よう、僕を殺すための旅に。


*表紙はPicrewさんでつくりました。

ファンレター

雑談のようでありながら中身が濃い‼

いつも楽しく拝読しています。
特に336話が非常に面白かったです!
「純文学」と「エンタメ小説」の違いは定義が難しいものですが、るるせさんの「型」と「文脈」をキーワードにした分析は、わかりやすく、且つ説得力がありますね‼
339話は、るるせさんの創作の楽屋裏をちょっと覗かせていただいたようで、こちらも大変興味深かったです。るるせさんの「『かえるくん、地球を救う』みたいな作品」?!「(大嘘)」となっていますが、ついその方向で期待してしまいます♪♪
初期の頃は自分のファンタジー世界に閉じこもっていた村上春樹が「アンダーグラウンド」あたりから社会との接し方を変え始めて……その変化の一つの帰結が「かえるくん」だと思うのですが、るるせさんが一体どんな物語を紡がれるのか、いろいろ妄想(?)しながら楽しみにしております。

返信(1)

南ノさん、お忙しいところ、レターいただき感謝です!! 『アンダーグラウンド』は、1995年に村上春樹が、住んでいたアメリカから帰国して日本で暮らし始めて「なにをしよう」というときに企画を立ち上げた作品であることが、『村上春樹全作品』収録の『アンダーグラウンド』の「解題」に書いてあります。
以下、アンダーグラウンド「解題」より引用。

『ここでなされたことは、おおまかに言えばナラティブ(物語)の誠実な採集である。
僕は職業的小説家であり(中略)総合的な結論というものに重きを置かない。論理的解析にも、倫理的解析にも必要以上の興味はない。
信頼し、重きを置くのは、主としてナラティブという形態の持つ自然で、本来的な力である。
語られたひとつひとつのナラティブが読者に向かってどれだけの訴求力とリアリティを保つのか、それらの集合体が、集合的にどれだけの訴求力とリアリティを持つのか、それがもっとも重要な意味を持つところである。
言い換えれば、証言者ひとりひとりの証言がどれだけ強く、細部まで鮮やかに物語として立ち上がるか、それが僕が注目するところである。
(中略)
「アンダーグラウンド」という本は、成り立ちとしては非小説でありながらも、やはり「小説家=物語るものの仕事」として成立しているのではないかと考えている』

自身のNarrativeについてストレートに語る村上春樹もめずらしいのですが、文中の「小説家=物語るものの仕事」の言葉に共感したのを覚えています。僕が考えるnarrativeの作用は、村上春樹が述べた、上記の引用と近いです。
『かえるくん』は、早退届ではてきとーにごまかすために単語間違えてますが、これは正確には『かえるくん、東京を救う』ですね。そう、僕が好きな村上春樹短編のひとつです。『ねじまき鳥クロニクル』で「歴史」を挿入し、それから『アンダーグラウンド』から社会との接し方が変わってきて、『かえるくん』が最後の章になる『神の子どもたちはみな踊る』でパラダイムシフトしましたよね。
そうです、パラダイム!! 僕も執筆する小説の位相をシフトさせたいな、と考えています。
楽しみにしていただけるなんて最高ですよー!! これからもよろしくお願いします。頑張ります!! ありがとうございます!!