【戯曲】闇の左手(ル=グウィン原作/オリジナル訳に基づく二人芝居)

[SF]

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10件のファンレター

宇宙のさいはて、極寒の惑星。スパイとみなされた地球からの使節は、ただ一人の理解者である現地人の宰相と、大氷原を横切って決死の逃避行を試みる。雪と氷に閉ざされた死の世界で二人を待ち受けるものとは……。
日本では『ゲド戦記』の原作者として知られるル=グウィンの、真の代表作『闇の左手』。その壮大な物語を、かぎりなくストイックな表現で二人芝居の朗読劇にしました。
未村明によるオリジナルの翻訳に基づいています。勝手な二次創作ではなく、正式に原作者の許可を得ています。生前に台本をお見せしたら、大変喜んでくださいました。
(人形は園英俊(そのひでとし)氏の作品です。)

(ここから小声)じつは、原作小説の既存の日本語訳には、訳し間違いが多々あります。少なくとも、固有名詞の発音は私の訳のほうが「正しい」です。ル=グウィンさんに(生前)直接お会いしてお訊きしました。ご本人による朗読テープも私は持っていて(残念ながら絶版)、随時確認しています。
例1.主人公二人のうち一人の名前は、「エストラヴェン」です。冒頭の「エ」にアクセントがあります。(ハ●カワ訳のように「えすとらーべん」ではありません。)
例2.もう一人の主人公ゲンリーの所属する惑星同盟の名前は、「エキュメン」です。同じく冒頭の「エ」にアクセントがあります。(ハ●カワ訳のように「えくーめん」ではありません。)
さらに詳しい話は別編「もっと『闇の左手』」をご覧ください。

ファンレター

第1幕まで読みました

 いきなりの急展開に引きずり込まれて、飛ぶようにページをめくってしまいました。読みやすいのにひとつひとつの言葉はとっても重厚でその奥にどこまでも広がる作品世界を垣間見せてくれます。この戯曲は日本語訳の原作本、約300ページの内だいだい2/3ぐらいのところから始まっていると思うのですが、前200ページの雰囲気が十分に濃縮されて伝わってくるのは感嘆を禁じえません。私もむか~~し、この話に感動し何を血迷ったかマンガのネーム(?)らしきものを描いてみたことがあるのですが、この前200ページをどうして良いかわからず数ページで挫折してしましました。本を読んでいると前200ページはこの星のエキゾチックな文化を丁寧に描いているのですが、動きとしてはやや緩慢でうまくいきませんでした…。そうか、こういう構成があったのかと刮目すると同時に、しかしこの作品世界の雰囲気と二人の精神的な距離をしっかりと1幕めに落し込むのは並大抵の技ではできないと思い知らされました。各所に散らばる情報や言葉を上手く拾ってこられて無理なく台詞にされているのは、本当にすごすぎます。
 特に好きなのは1幕4場、ここは原作では結構なページを割いて(拘束されたアイに関してだけでも18ページぐらい)丁寧に描かれているところですが、二人の交錯する運命、エストラヴェンの焦燥やゲンリー・アイの絶望感はこの戯曲の方が臨場感たっぷりに伝わってきます。(ああ、原作もとても良いのですが、がーんとダイレクトに心に迫ってくるのはこちら……)
 原作も、今の原作の訳も好きなのですが、大好きな話の割に読み返さないのは、ちょっと「予」という言葉遣いとかこぼたれやすい、とか言葉の選び方が古風だったからかもしれません。ああ、未村訳が読みたいです。興奮して長々とすみませんでした(汗)

返信(1)

ありがとうございます!!(泣)もとからのファンである方にそう言っていただけると本当にほっとして、嬉しくて泣きそうです。
不二原さんのネーム見てみたかったです(*^^*)
私も「予」に違和感あります。あれはどうしてでしょうね。原作のエストラヴェンの口調はべつに古風じゃなく、ぜんぜん普通なのに。
たぶん、1972年当時の日本では女性の首相なんて、どんなメンタリティか想像もできなかったのでしょうね(エストラヴェンは両性だけど)。改めて、原作が68年って凄すぎ!と思います。やっと時代がこの作品に追いついてきたと思いませんか? いや、日本ではまだ追いついていないかもしれませんね。
これは朗読劇の台本で、耳から入って理解できる情報の量って目からに比べてすごく少ないので、もう極力しぼりにしぼって、印象に残るキイワードやアイテムを選んでます。わかるって仰っていただけて嬉しいです。あと、もうお気づきかもしれないけれど、原作にない台詞もかなりあります(いまから増えていくかな)。私がゼロから作ったというより、オリジナルの台詞三つ分を一つに凝縮したりとかしてます。原作者にはOKをいただいているので大丈夫だとは思いますが、ファンとして不二原さんがいやなお気持ちにならないでくださるよう祈ってます!
(ここから小声)資料集のほうにエストラヴェンの手記も載せていくつもりです。フォローよろしくお願いいたしますね!