第10話 ルーとライスなアンバランス
文字数 1,013文字
数分前に比べて大分軽くなった器の中を見ながら俺は腕を組んだ。
それはこういったコンビニで買えるタイプのカレーを食べ始めてかれこれ20年近くになるが未だ解決しない難問である。
ライスとルーの割合の比率だ。
俺の眼前の容器の中にはおよそ二口分のライスが残っている。それに対してルーは恐らく後一口分しか残っていない。そしてあとはカツが一切れ。
どうしていつもこうなるのだろう。
まあ、どうしてと言いながら十中八九序盤にルーを消費しすぎているせいだがそんな現実からは目を背けながらおれは結局いつものカツカレーの最後と同じように二口分のライスを一口分のルーにつけて幾分味の薄くなった二口と仕上げにカツを食べて今日の昼食を終えた。サラダとカレーの容器をひとまとめにしてゴミ箱に捨てると俺は再びカーペットの上の腰を下ろした。
満腹だ。そして満足だ。満ち足りた気持ちで俺はスマホを確認する。
―12:43―
食欲は満たされたし満腹中枢が刺激されたことで頭がぼーっとしてくる。もっとも今日は一日中ぼーっとしている気がするがとにかく頭がホワホワしてきた。
これは俺の身体が発するサインなのかもしれない。
「昼寝」がしたい、という。
俺はそのまま身体を横たえて眼を閉じた。
お休みなさい。
ってそうじゃないだろう!
俺は餌を取り合う鯉のように勢いよく上半身を跳ね上げた。
気がつけばもう午後13時近く。今の所今日一日の俺の活動の記録は…残念ながらゼロである。起きてご飯を食べて寝ての繰り返しだ。
このままではダメだ。
と、いうことで俺はベッドの上上半身だけ起こした状態で当初の目的を達成するためにスマホを片手にLINEを開き沢辺さんのアイコンを選択してトーク画面を開く。
はてさて何て言って誘えばいいのか。
こんな時に淀みなく自然にそれでいていやらしい感じもなく女性を誘えるのがいわゆる「モテる」男なのだろう。
残念ながら俺はそうじゃないので短いLINEの一文を考えるのにも長考が必要になってしまう。
―お仕事は順調ですか?ところで今日―
…ところでの使い方がおかしいなあ…
―今日は金曜!そう、ハナキンですね!ということで飲みにいきませんか?―
…今時ハナキンって…
俺はトーク画面に文章を打ち込んでは消していた。ダメだ…上手い感じの誘い文句が浮かばない。
しかしこうして悶々としてる間にも時間は刻一刻と過ぎていく。
過ぎる時間と浮かばない言葉を背負い俺は…困っていた。
それはこういったコンビニで買えるタイプのカレーを食べ始めてかれこれ20年近くになるが未だ解決しない難問である。
ライスとルーの割合の比率だ。
俺の眼前の容器の中にはおよそ二口分のライスが残っている。それに対してルーは恐らく後一口分しか残っていない。そしてあとはカツが一切れ。
どうしていつもこうなるのだろう。
まあ、どうしてと言いながら十中八九序盤にルーを消費しすぎているせいだがそんな現実からは目を背けながらおれは結局いつものカツカレーの最後と同じように二口分のライスを一口分のルーにつけて幾分味の薄くなった二口と仕上げにカツを食べて今日の昼食を終えた。サラダとカレーの容器をひとまとめにしてゴミ箱に捨てると俺は再びカーペットの上の腰を下ろした。
満腹だ。そして満足だ。満ち足りた気持ちで俺はスマホを確認する。
―12:43―
食欲は満たされたし満腹中枢が刺激されたことで頭がぼーっとしてくる。もっとも今日は一日中ぼーっとしている気がするがとにかく頭がホワホワしてきた。
これは俺の身体が発するサインなのかもしれない。
「昼寝」がしたい、という。
俺はそのまま身体を横たえて眼を閉じた。
お休みなさい。
ってそうじゃないだろう!
俺は餌を取り合う鯉のように勢いよく上半身を跳ね上げた。
気がつけばもう午後13時近く。今の所今日一日の俺の活動の記録は…残念ながらゼロである。起きてご飯を食べて寝ての繰り返しだ。
このままではダメだ。
と、いうことで俺はベッドの上上半身だけ起こした状態で当初の目的を達成するためにスマホを片手にLINEを開き沢辺さんのアイコンを選択してトーク画面を開く。
はてさて何て言って誘えばいいのか。
こんな時に淀みなく自然にそれでいていやらしい感じもなく女性を誘えるのがいわゆる「モテる」男なのだろう。
残念ながら俺はそうじゃないので短いLINEの一文を考えるのにも長考が必要になってしまう。
―お仕事は順調ですか?ところで今日―
…ところでの使い方がおかしいなあ…
―今日は金曜!そう、ハナキンですね!ということで飲みにいきませんか?―
…今時ハナキンって…
俺はトーク画面に文章を打ち込んでは消していた。ダメだ…上手い感じの誘い文句が浮かばない。
しかしこうして悶々としてる間にも時間は刻一刻と過ぎていく。
過ぎる時間と浮かばない言葉を背負い俺は…困っていた。