甘え方
文字数 308文字
彼女が自分から火志磨に近づいてくる事は、ほとんど無い。あったとしても憤慨している時か、はたまたたまらなく鬱っぽくなっている時か、それぐらい。それぐらいのはずだったんだけどなぁ、会ってすぐにふらふらと自分の元へと歩み寄ってきて、そのままぎゅうと火志磨の胸に額をくっつけたまま動かなくなったあずきのつむじを見下ろして、湧き上がってくる不思議な感情に何とも言えずに天を仰いだ。
「あずきは何も言わないから難しいな……」
ぼんやりと呟いた言葉にあずきは頭を少しだけ動かして、小さく唸る。不満不平ではなかったのだが。
「会いたかった」
確かにそう聞こえた小さな小さな声に堪らなくなって、火志磨はあずきの柔らかい体躯を抱きしめた。
「あずきは何も言わないから難しいな……」
ぼんやりと呟いた言葉にあずきは頭を少しだけ動かして、小さく唸る。不満不平ではなかったのだが。
「会いたかった」
確かにそう聞こえた小さな小さな声に堪らなくなって、火志磨はあずきの柔らかい体躯を抱きしめた。