右耳
文字数 418文字
先生が胸を触る。
静まり返った教室の空気が固く張り詰めている。異様な緊張感だ。そこに観葉植物が置いてあったなら、その緊張感でシオシオに枯れてしまうに違いない。
跳ね除ける、逃げる、受け入れる、どうしようかと思ったが、そんなのどうだってよくなってきた。逃げたところで、立ち向かったところで、起こったことは、消せないからだ。
じっと我慢していると、手が上着とシャツの隙間を通って奥に伸びてきた。手は自由に動き回る。体温を感じて、お互いの温度の違いをそこで知ることになる。人の体温は暖かい。その暖かさに侵入されると、芯が溶かされる。争うということが、何か無駄なことに感じてくる。だけど、先生に抵抗しないわけにはいかない。
「やめてください!」
声が緊張感で固まった空気を裂いた。その裂け目は冷たい。周囲は注目する。
「ほら、やっぱり!現物確保!アメスピか、おまえ高校生のくせに煙草なんか吸ってんじゃねーよ。匂いでわかんだよ。はい、停学な。」
静まり返った教室の空気が固く張り詰めている。異様な緊張感だ。そこに観葉植物が置いてあったなら、その緊張感でシオシオに枯れてしまうに違いない。
跳ね除ける、逃げる、受け入れる、どうしようかと思ったが、そんなのどうだってよくなってきた。逃げたところで、立ち向かったところで、起こったことは、消せないからだ。
じっと我慢していると、手が上着とシャツの隙間を通って奥に伸びてきた。手は自由に動き回る。体温を感じて、お互いの温度の違いをそこで知ることになる。人の体温は暖かい。その暖かさに侵入されると、芯が溶かされる。争うということが、何か無駄なことに感じてくる。だけど、先生に抵抗しないわけにはいかない。
「やめてください!」
声が緊張感で固まった空気を裂いた。その裂け目は冷たい。周囲は注目する。
「ほら、やっぱり!現物確保!アメスピか、おまえ高校生のくせに煙草なんか吸ってんじゃねーよ。匂いでわかんだよ。はい、停学な。」