第3話

文字数 443文字

ただ踏んづけて殺すのは面白くないな。健太は蝉を殺す方法を考えた。脚と翔を毟り、ダルマになった体を猫に与える。頭と胴体にタコ糸を結んで左右から引っ張り、頭を千切る。

考えついた遊びを健太は友達に勧め、一緒にやろうと誘った。健太の友人も梨農家の子が多かったので、彼らは嬉々としてこの残酷な遊びに興じた。

中でも一番興奮するのが、ドライヤーで焼き殺す方法だった。母親に譲ってもらった古いドライヤーの熱風口に蝉を頭から突っ込み、スイッチを入れ、熱風を当てる。蝉はしばらく狂ったように鳴いているが、やがて絶命する。取り出すと、頭が真っ黒焦げに焼けている。

蝉が死んでゆく様子をつぶさに観察出来るのが面白くて、健太はこの遊びに夢中になった。なかには顔をしかめて、こんな可哀想なことやめようよ、という友人もいたか、健太は

と睨みつけて言った。

「アホかお前、知らんのか? 蝉は害虫やから、幾ら殺したってええんや。おとんもおかんもそう言うとる。それに、どんな死に方かて死ぬのは同じや」
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