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文字数 264文字
海の音が続く
何もないのに
月明かりだけで
空と海の境が見える
他に誰もいない
贅沢すぎる空間は
何千年も前から
変わらずここにある
でも振り返れば
この景色がきっと随分と
予想だにして来なかった
そんな世界に成り果てたのだろう
便利さと不便さが釣り合わずに
僕らは迷走を続ける
チカチカした夜も
キラキラした夜も
真っ暗な夜も
今宵くらいは
何もかもを忘れて
何もかけることなく
明日へと進もう
出会いと別れも
愛と憎しみも
何も考えることなく
今宵くらいは
明日へと進もう
こんなに急がなくても
僕らには十分に時間があるから
何もせずにこの空を眺めて
今宵くらいはただ
明日へと進もう