第30話「『空白』に塗りつぶされた戦禍」

文字数 3,368文字



■■【五大貴族】について語るヘルド・フェレライ■■

 

 ワシらの今後の方針について議論するうえで、まずは【五大貴族】について確認しておくかの。

 ターナカは……あまり傾聴するのが得意ではないと思うが、まあ、あらましだけでも把握してくれればよい。

 ……とは云ったものの早速どこを見ておる。

 そのカップが気になるか? それはゼーレン領から取り寄せたものじゃ。あのあたりに腕のいい陶器職人がおっての。

 作りは質素じゃが、実用性の美がある。ワシは必要以上に華美な工芸品を好まんでな。

 それのよさが分かるとはおぬしもなかなかいい眼を持っておる。

 手と目に馴染むものがあれば、帰りにいくつか見繕っていくがよい。

 ――さて。

 【五大貴族】の歴史についてじゃが――それは今より六〇〇年前、初代【魔王】が現れた時代まで遡る。

 当時、異世界より召喚された【勇者】は、女神より与えられた数々の恩恵によって【魔王】を討ち果たしたが、いよいよその絶大な魔力と生命力の全てを奪い切ることは叶わなかった。

 故に復活を恐れた王は【勇者】の箴言を受け、初代【魔王】の遺体を分割し、王都近郊より離れた土地で管理することを決めた。

 その際、遺体の管理を任された五つの有力諸侯たちが現在の【五大貴族】と呼ばれる者たちじゃ。

 【魔王】の遺体はそれより二〇〇年後、王都と彼らの土地を異界化させ――【ダンジョン】を生み出すことになる。

 そして、()()()()()()()()()()()()()()()()()

 倒せど倒せど、絶えず異形たちが湧き立ち、外の世界へと恐怖を放ち続ける魔物たちの巣窟。
 
 その畏怖の象徴は年月を経て、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 北東部の農耕地域を管理し、攻略者の登竜門と呼ばれるダンジョンである【歌い人の虚空】を所有するアルトゥール家。

 西部の【王の道】にて発展する各商業地を管理し、最も多種類の魔物が生息するダンジョンである【笑い人の赤沼】を所有するゲオルク家。

 最北部の雪原・炭鉱地帯を管理し、最も魔物の総生息数が多いダンジョンである【痩せ人の石牢】を所有するゼーレン家。
 
 南部の港町と練兵施設を管理し、個体として強力な種と称される魔物が闊歩するダンジョンである【猛り人の堅城】を所有するマルティン家。

 本土の流通網から切り離され、独自の発展を遂げたフテルシア島を管理し、最難関と名高いダンジョン【下り人の頂】を所有するフリードリヒ家。

 彼らは王都より授かったいくばくかの土地の所有権と各王都直轄地の運営権限を用いて、それぞれに地位を築き上げてきた。

 彼らのそばには資源と仕事を求めて多くの民が集まり、【ダンジョン】に隣接するその領土は産業の中心地へと変わっていった。

 じゃから、そうして大きな力を得た彼らが、資本力に応じた更なる権利を求めて王都に反発することも当然の話の流れであった。

 経済発展の妨げとなる税の軽減と撤廃。

 かつて承認されていなかった私兵の組織権と運営権。

 より深い国営への干渉するための政治的権限。

 それこそが【愚者の白暦】で起こった()()()()()()()()()()()()()の戦果じゃった。

 かねてより、【愚者の白暦】はこの国内部の諍いの歴史だろうと予想されておった。

 ヒース第三王子主導のもと、ワシが顧問を務め、ターナカやクルオスにも協力を仰いだこの空白期間についての調査活動は、史実編纂を大義名分とした【五大貴族】の現状調査じゃ。

 坑道でありながら、内部に数十名が収まる空間が存在するような、()()()()()()()()()()()()()()を備えた洞窟。

 雪の降りしきる厳しい環境下にありながら、()()()()()()()()()()()()()()が点在する林道。

 そこには人と人とが争いあった歴史の足跡が残っていた。

 ワシらは現在になって来歴不明の人間が集っているというそういった場所場所へと直接赴き、フィールドワークの実績としながら、その裏で政治犯や山賊たちに息をかけた何者かの存在がないか日々確かめておった。

 調査の結果は――まあほぼ()()じゃろうな。

 それは彼らの持つ武器の生産地の統一性と【レベル】から導かれた結論じゃ。

 イディアニウム人の場合、レベルアップに『成長条件』が課されることは知っておるじゃろう。

 その中に【一つ目鬼(サイクロプス)の討伐】というものがある。

 これは――人間によってタイミングはランダムじゃが、【レベル42】までの間に()()()()()()ことが分かっている。

 このサイクロプスは【歌い人の虚空】の上層か【下り人の頂き】の低層に生息する魔物でな。怠け者なのか、ダンジョン外に出ることがない。

 本来、【ダンジョン】は各貴族によって管理されており、王都への申請なく立ち入ることは許されておらん。

 しかし、ターナカとクルオスが倒した者たちの中には【レベル42】を超える人間が数名確認された。

 つまり、じゃ。

 彼奴らは、()()()()()()()()()()()()()()調()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 これが意味することなど、そう多くはないじゃろう。

 じゃから、ワシは『ほぼクロ』だと結論付けた。
 
 『ほぼ』というのは――真偽の確度は現段階でそこまで必要なものではないという意味じゃ。

 ワシらが導いた結論は、少なくとも反乱があることを予期して、それを前提とした立ち回りを選択する根拠にはなりうる。

 それが本当だったかどうかは、()()()()で明らかにされていくことじゃろう。

 あるいは『なぜこの事実は歴史から削除されたのか』というもう一つの謎も、もしかすると解き明かされていくのかもしれん。
 
 ……ん?

 どうした、シア。なんぞ気になることでもあったか。

 …………。

 ふむ。

 『なぜ今なのか』か。

 ……これもある意味では推測の域を出ないことなのじゃが。

 現在では各諸侯が私兵を持つことが許されているが、そこに制限があることは知っておるな?

 ワシの娘なら知っていて当然――徴兵制じゃ。
 
 各地の騎士や兵たちはその総数に応じて、累進方式で王都への徴兵数が決められ、生まれ育った土地を出なければならん。

 最も志願兵の多いマルティン領などはその半数近くが王都および直轄領へと召し上げられるが、これは各諸侯が自衛以上の戦力――つまりは王都以上の戦力を持たぬようにするための措置じゃ。

 そんな環境があるからして、戦力的な問題によって【五大貴族】たちは――仮に王都への反意を抱いたとしても――これまで泣き寝入りをするほかなかった。

 ……ただ、今この時期は別なんじゃ。

 二〇〇年に一度。

 王都が管理しきれない『余剰戦力』がこの国には生まれるじゃろ。

 ……得心がいったようじゃな。

 そう。
 
 ――【()()()()()

 彼らは規格外の能力を持ち、その膂力は騎士数百名で構成された一軍すら容易く凌駕する。

 それを囲い込み、戦力として適切に運用すれば、【王の壁】を切り崩す攻城砲となりうる。
 
 二〇〇年前、毅卒王と呼ばれたアダ・プロトスは【勇者】に頼らず、自力で【魔王】を討伐したと云われておるが、察するに、その時にもなんらかの波乱があったのやもしれんな。

 毅卒王の時代の【勇者】たちは『複数名の召喚が確認された』ということが分かっておるが、しかし、肝心の『どのように活躍したか』……あるいは『()()()()()()()()()()()()』、それがどの文献にも残っておらん。

 ともすれば、彼らが歴史に残るような活動を行うより前に『強硬手段』が打たれたのやもしれぬ。

 ……あまり今代の【勇者】たちがいる場所でする話ではないかもじゃな。

 さて、喫緊の問題に話を戻すが、現在【五大貴族】による【勇者】の懐柔が既に現実のものとなりつつある。

 今日の主旨はその対応策についての議論ということになるが、【勇者】関係の前提情報はクルオスに話をしてもらうのがよかろう。

 ワシから事前に話す内容としては以上じゃ。

 ――さて。

 ターナカよ、さっきからあの壁掛けが気になっておるようじゃな。

 一応訊くがワシの話はどこまで…………いや、やっぱいいや。シアがあとでいい感じに補足してくれると信じよう。

 ちなみにあれは北のアルトゥール領から仕入れたものなんじゃが、あのあたりには腕のいい反物職人がおって――。
 


▲▲~了~▲▲
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登場人物紹介

ユウ・ターナカ/田中 勇愛


【操奇】の勇者。その奇抜な発想と後先を省みない行動力、そして意外性によって、日々イディアニウムの人間たちに奇異の視線を投げかけられながら生活している。【魔王】の打倒という【勇者】の使命にさえ興味がなく、その場その場のノリに身をやつすその姿勢は、周囲から『目前主義』と評されている。


前世では自身の『症状』に対する苦悩の末、命を落とすことになったが、今生ではその誠実さ・実直さにより、人間関係に恵まれた。そして現在はとある『目的』のため、仲間たちとともに行動している。


イディアニウムに存在する十人の勇者の中で、「最も対集団戦・耐久戦に特化した勇者」と云われており、受けた攻撃の数だけ自身を強化する固有スキル【ラウンドアバウト】や、その副産物である特異属性『星属性』の魔法を駆使して戦う。


自分をこの世界に召喚した女神イディアとは、現在恋仲である。

イディア・イデイン・プロトス


勇者ターナカをイディアニウムに召喚した【女神】。数百年前に【現代魔法】や【ステータス】という概念を開発した張本人であり、現在は【女神の意志】の『端末』として転生した身体で第二の人生を謳歌している。


『【勇者】の選定』という自身の『端末』としての使命を果たし終えたことから、他の勇者に対する公平性をとっくに放棄しており、ターナカに対してのみ助言を行ったり、それどころかパーティを組んでみたりするなど、何かにつけて彼に肩入れしている。

足繫くターナカの拠点に通い続けていたイディアは、やがて彼の大らかな人柄を慕うようになり、いつの間にやら二人は恋人関係を結んでいた。


生前(前世)の彼女は【古代魔法】の使い手たちであるイデイン族をたった一人で制圧するほどの実力者であったが、転生後は自身本来のイデイン族としての肉体を失ったことから、その出力も当時に比べて大きく劣ったものとなっている。使命達成後に【女神】としての権能もほぼ失っており、残っているのは限定的な【空間移動】などほんの一部である。


【魔王】や【魔族】と勘違いされないよう、普段はその特徴的な青い頭髪を隠して生活しており、混乱を防ぐために、できるだけ素性も偽るようにしている。(その際、『イド(ターナカが付けた愛称)』という名前を好んで使っている)

シア・フェレライ


勇者ターナカの従者。【悪食大公】ヘルド・フェレライの実娘であり、以前は一人の女騎士として活躍していたが、『ある出来事』によって【魔力詰まり】を発症したことをきっかけに前線を退いた。


その後、従者としてターナカに仕えるようになってからは、討伐など戦闘を伴う依頼の補助を行えない代わりに、事務処理や彼の身の回りの世話、うっかり気質のフォローをする役回りを背負っている。

当初こそ、その素行を訝しんでいたものの、不器用ながらもひたむきに生き、他人のために自身が傷付くことさえいとわないターナカの姿勢を見ているうち、やがて彼女は自分の主君の幸福をなによりも願うようになった。


【魔力詰まり】であることを度外視すれば、彼女は本来【千魔一剣】という剣術を扱うかなりの武闘派であり、その攻撃力に特化した必殺の一撃は耐久特化の【ステータス】を持つターナカを戦慄させるほどだった。その能力をターナカのために発揮できないことを彼女自身いつもむず痒く思っている。


元騎士らしく礼節を重んじる性格でありながらも、人当たりが非常に良く、笑いのツボが劇的に浅い。

ヒース・プロトス


イディアニウム国王ユーバ・プロトスの三男にして第三王子。【枝喰み川】での住民失踪事件について調査していた折、『水豹』に襲われたところを偶然通りがかった勇者ターナカによって救われる。


以降、命の恩人であるターナカのパトロンとして(半分面白いもの見たさで)、その活動を支援するようになるが、その援助の大半はことあるごとに問題を起こす彼の尻拭いである。それゆえにターナカにとってヒースは頭が上がらない存在であるが、同時に心の底ではよき理解者として兄貴分のように慕っている。


よくも悪くも捉えどころのない飄々とした性格で、いつの間にか王城を抜け出してはイディアニウムの各土地を転々と渡り歩いていることから、王都では『風来坊』と揶揄されている。

しかし、一方で、そのずば抜けた先見性や、王族という自身の立場を上手く利用(あるいは悪用)した立ち回りを知る身内からの評価は非常に高く、関わる機会の多いターナカも彼のことを『切れ者』であると認識している。


兄弟の中で唯一、長男のグレンとまともに口を利ける存在で、兄の裏での心労を推し量っては、さりげなく王城の外に連れ出して気晴らしに付き合っている。その甲斐もあってか第一王子として誰よりも固い意志を持つグレンが、彼の助言にだけはいつも素直に耳を貸しており、その辣腕を信頼して大きな仕事を手伝わせることも多い。

グレン・プロトス


イディアニウム国王ユーバ・プロトスの嫡男であり、次期国王候補の筆頭。


その冷酷な問題解決思考と王族代表としての厳格な態度から、敵味方問わず畏怖の対象とされている人物。

権力の象徴として嫌悪を向けられることもある一方で、彼のその冷徹さはイディアニウムを想うがゆえのものであり、常にその顔に鉄面皮を貼り付けているのも、その付け入られかねない内心――優しさを隠すためである。


自身の王族としての立場を誇りに思っており、たとえ自分がまさに救おうとする人々から誹りを受けることがあろうとも、その役目を全うし、信念を貫き通すだけの意志の強さを持っている。『誰からも理解されることが政治ではない』という独自の信条を持っており、その言葉の通りに日々行動しているが、それでもその『孤高』はただの一人の人間には至極耐え難いものであり、身内の人間の中で唯一気を許しているヒースに対してのみ、時折愚痴や弱音をこぼしている。


ヒースのツテで勇者ターナカと親交を結ぶようになるが、懇親会にしれっと参加していた【女神】の誘いに乗ってしまい、泥酔の末、普段は他人に見せることのない姿をターナカに晒してしまった。


以降、ターナカは彼のことを「中間管理職の苦労人」と評している。

ヘルド・フェレライ


元騎士団長であり、名誉公爵。その好事家ぶりからイディアニウム内で【悪食大公】という二つ名を付けられている。


かつて、娘であるシア・フェレライの【魔力詰まり】の治療法を探す旅の過程で、若返りの呪いにかかってしまい、現在見た目が少年の姿となっている。その結果として騎士団長の任を退くことになったものの、本人は「貴重な体験をした」とかえってこのことを喜んでおり、引退をきっかけに、かねてより目を付けていた【黒箱城】に移り住むなど『悪食』の名にし負う酔狂ぶりで日々を楽しんでいる。


趣味嗜好こそ他人の理解を得難いものではあるが、その分け隔てのない性格と人好きのする人柄は、一種のカリスマ性となり、人心掌握術と関係構築力において彼の右に出る者はいないとまで云われている。

彼の本領は他者に対するその観察眼と記憶力である。この能力は教育方面においても遺憾なく活用され、最終的に多方面からの厚い信頼を勝ち取った彼は、平民の出でありながら、騎士団長の任に就く快挙を達成することとなった。


家族関係について、妻は【黒箱城】に移り住むより前に病気で他界しており、子どもたちに対しても騎士としての心得と技術のみを教えてほとんど放任主義であった。しかし、関係が悪いということは一切なく、彼の行動の端々から愛情を受け取って育った子どもたちは、それぞれの道を修める中で父の名に恥じない人間となることを一つの行動原理として日々研鑽を積んでいる。

(ちなみにヘルドの姿が少年となってから、子どもたちは彼に対して、ちょっとしたマスコットのような扱いで接するようになったらしい)


シアが従者となったことをきっかけに勇者ターナカと知り合った。

ジュン・クルオス/黒瀬 純


【紅雲(あけぐも)】の異名を持つ勇者であり、前世でのターナカの従妹。


勇者ターナカがイディアニウムに召喚されたばかりのころ、そのことをどうやってか嗅ぎ付けた彼女がどこからともなく姿を現し、右も左も分からない彼にイディアニウムでの生き方を教示した。


クルオスはイディアニウムにおいて非常に悪名高い【勇者】であり、その悪評っぷりは国内諸地域にて『あらゆる謀略の渦中に彼女が存在する』と日々話題の種にされているほどである。なかでも有名なのは数年前に起こった【五大貴族】の暗殺事件で、王都では「勇者クルオスこそがその実行犯だったのではないか」とまことしやかに囁かれている。


戦闘においては魔力によって編んだ不可視のワイヤーを武器に戦う。市街地戦や屋内戦など、奇襲が高い効果を発揮する戦いにおいてその本領を発揮するが、大抵の場合、彼女が姿を現すときにはすでにその戦いは『終わって』いる。


前世からの縁があってか、勇者ターナカに並々ならぬ感情を抱いており、平時こそ彼のことを揶揄するような言動ばかりが目立つが、実際は心から彼のことを敬愛している(ターナカの生前は違うものだったはずの彼女の『一人称』にもそれが表れている)。ターナカのためであれば命を投げ出しても構わないほどの覚悟を持っているだけに、その純粋な気持ちが、時折歪んだ愛情として発露することがある。


ターナカにイディアという恋人がいることを、彼女はまだ知らない。

イドラ・イデイン・プロトス


千年以上も昔、イディアニウムが『プロトス国』だった時代に【悪王】として国民から恐れられた人物。イデイン族の父と旧プロトス王族の母の間に生まれた。


プロトス族から王権を奪ったイデイン族の祖母イディア(【女神】イディアとは別の人物)が、プロトス文化や既存の有権者に対して寛容な政治を行ったのと正反対に、イドラは独自の改革によって中央集権化を図った。貴族を主な対象とした新税制の導入や、イディアニウム騎士団の前身である【銀の兵団】の設立(軍事拡充)が主な功績である。


自身の目的のためであれば手段を選ばない性格であり、本来王権を継ぐはずであった父を始め、身内にすら容赦なく手をかけたとされている。そのため彼は国民・貴族・王家の全てから反感を買っており、最後には妹であるイディア(のちの【女神】イディア)が起こした反乱によって倒れた。


悪名ばかりが目立つ中、現イディアニウムでの歴史編纂事業においては一部、『悪王イドラによって実施された行政改革や王家主導の各種土木事業は、国内産業の活性化を促し、以降千年以上に亘るイディアニウムの平和の礎となった』と解釈する向きも出てきている。

しかし、それでもやはり『【魔王】の発生は非業の死を遂げたイドラの〝呪い〟によるものである』というイディアニウムの誰もが知る巷説が、今まさにその場所に生きる人間たちにとって、【悪王】の存在をいまだ受け入れがたいものとしている。


【魔王】として現在のイディアニウムに転生し、【黒箱城】を訪れていたターナカと邂逅を果たした。

その他の登場人物


・【勇者】


タクミ・ニーシャ/西谷 拓海

…【愚勇】の勇者。最強の勇者と名高い。現在はフテルシア島の【獣の大地】にて活動している。


ハーミット・サハラ/佐原 栄路

…【銀狼】の勇者。【愚勇】に唯一匹敵しうる存在と云われている。ゼーレン公管轄地である雪山地帯で時折目撃されている。


ミッチェル・エンド/遠藤 美千流

…【鬼骨】の勇者。マルティン公領管轄地にある『靴売り宿』の用心棒。ターナカと親交を結んでいる。


ソラ・ヨシダ/吉田 空

…【蒼穹】の勇者。王都以北全域を活動地域としており、イディアニウムの人々から『天才』と称されている。勇者クルオスに一目惚れした。


サクラ・エドガー/江戸川 咲良

…【華煙】の勇者。アルトゥール公管轄地【魔女の森】を拠点としている。【銀狼】と因縁がある。


ケイジ・ミーティア/三田 啓司

…【悪童】の勇者。王都以南【渇望の大地】に蔓延る荒くれ者たちを己の拳一つでまとめ上げた。【鬼骨】を姉貴分として慕っており、ターナカとも親交がある。


アツコ・シーヴァ/椎葉 篤子

…【連環】の勇者。普段は拠点である【蟲血ヶ浦】に引きこもっている。単独でダンジョン【歌い人の虚空】踏破を果たした。ターナカに扶養されることが夢。


クアッド/阿藤 九

…【峨々】の勇者。イディアニウム騎士団員としても活動している。【鬼骨】や【悪童】と折り合いが悪く、ターナカを敵対視している。



・イディアニウム人


ユーバ・プロトス

…イディアニウム現国王。過去に一度ターナカと対面したことがある。


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