第15話 ホットワード

文字数 1,062文字

炎上してる?炎上ってあの炎上?
「え、萌愛望愛って不仲なの?」「やばくない?」
周りにいたモデルさん達が、私に視線を集めてくる。
「望愛さん、控え室に戻りましょう。」
七川さんはそれだけ言うと、自分が肩から羽織っていたカーディガンを私の頭から被せた。視界が遮られて、ちょっと安心する。七川さんに引かれて、控え室まで急ぐ。
「わ、私も行きます!」
さっきのスタッフさんが後ろから、私たちを追いかけてきた。七川さんがちょっとスタッフさんを睨んだように見えたけど……気のせい?いや、これ絶対睨んでるって!多分怒ってるんだ。あの場で伝えたから、周りのモデルさんも騒ぎだしたって思って。やっばー、空気怖。……と、とりあえず!私は控え室に駆け込んだ!
「ど、どうしよう……。」
私が炎上した訳じゃないんだけど、何となく心配になる。これってほんとにやばいやつだよね?
「はい!」
トランシーバーに向かって、スタッフさんが返事をする。ちょっとしてスタッフさんが「望愛さんのマネさん!代わってもらってもいいですか?」って言って、トランシーバーを渡す。
「はい。はい。はい。」
簡単な質問でも続いてるのかな?っていうぐらい、はいしか言わないんだけど、これ大丈夫そ?状況飲み込めなさすぎてやばい。
「望愛さん、大丈夫ですか?」
スタッフさんが声をかけてくれた。私は思ったことをそのまま言った。
「正直、状況分かってなくて……これってどういう事なんですか?」
「あの動画は、観客席から撮られたものだと思います。カメラの画角がそうだったから……。」
スタッフさんはちょっと焦りつつも、ちゃんと私に事情を説明してくれる。
「多分たまたまお二人のあのシーンが映っちゃったって感じです。それがネットにあげられて……しかも。」
スタッフさんは喋ってるうちに、どんどん涙目になっていく。
「し、しかも?」
その先を聞くのが怖かったけど、聞くしかない。私たちの身に何が起こってるかちゃんと知りたい。
「しかも今、現地で見てる人とか、ライブ配信で見てる人に向けて、#○○コレってつけて投稿したら、ステージの画面に投稿をうつすよ!っていう企画をやってて、それで今#○○コレがホットワードに入ってるんです。」
つまり、今企画をしてて、それを皆がこぞって調べてるってことだよね?
「さっきの動画も、それをつけて投稿されてたんです。」
ホットワードに上手くのっちゃったんだ……。やっと、この事態のやばい度が分かってきた。
「望愛さん、これから萌愛さんが来ます。」
後ろを振り返った七川さんが言う。……え!?萌愛がここに来る!?
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登場人物紹介

秋山望愛(のあ)

クラスで顔が可愛いと有名。


秋山萌愛(もあ)

そこそこ人気のモデル。

かっこいい路線で売り出している。

七川優花

望愛のマネージャー。

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