第26話 愛する大地

文字数 351文字

 スターシアの歌が聞こえてくる。朝と同じ調だ。

必ず帰るから 
真赤なスカーフ
いつかその日を迎えておくれ
今ははるばる宇宙の果て
夢を見るのも星の中

「じゃな」
 一文字隼人は、しゃべるだけしゃべると出て行った。その晩彼はわたしの部屋に来るかわりに、表へ出かけたようだ。玄関の開閉する音。こつこつと遠ざかる靴音。徐々にわたしに興味を失っているのではないかと思った。
 スターシアが晩御飯を持って現れた。今晩はヒレカツ弁当だった。
「歌うまいわね」
「そう?」
「他にどんな歌が歌える?」
「聞きたい?」
「うん」

愛する大地
愛する地球よ
誰にも渡さない われらがふるさと
平和をもとめて 旅たつ朝に
希望に輝く
日が昇る

 またスローな調。でもとてもうまかったので、盛大な拍手をした。スターシアは満足そうな笑顔で 応え、部屋を出て行った。
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