文字数 386文字

「くそーっ! 飲んでやる!」
 おいらがそういったときには焼酎のパックを開けて、口に流し込んでいた。
 この渇きは、水やスポドリとかでは到底癒せない。
 んぐんぐ、んぐんぐ、ぐびぐび……ぷはああーっ!
 すかさずこの身体に染み渡ってくるかんじ、潤ってくるかんじ、そして満ち満ちてくる勇気は、もはや酒でしか得られない。
 思わず、雄叫びを上げた。
「うおおおお! やっぱ、これしかないわ!!」

 男は、おいらの様子にたじろいでいたが、やがてバイクに駆け寄り、シートによじ登った。
「変身!」
 そんなことしたって、所詮人間、そうそう変わらない。
 あの男も下種なままだ。
 それを見抜ける子どもと、騙される子どもがいる。そして、それぞれに時間が経てば大人になる。ただそれだけだ。

 それから、おいらが最後に見たのは虹色の光で、あとは救急車のサイレンで目が覚めるまで、何も意識に上がることはなかった。
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