第8話:さおりママとの再会と別れ1

文字数 1,823文字

 そうーか、どっかの誰かさん、みたいにエリートぶるじゃなくて、見る人は、きっと見てるという自信があったんだねと述べた。その後、吉川先生と一層、仲良くなり仕事に貢献してくれる存在となった。秋風が吹き出し仕事も順調で、今年は、もしかしたら個人で業績表彰を受けるかもしれない程、村下の実績は、好調だった。

 村下だけでなく、自分の親しい先生の先は、こまめに、後輩と同行する日々が続いた。今年も押し迫っり、やがて新年を迎えた。また地道な営業活動が始まった。そんな時、思いよらない海外旅行のお誘いがあった。

 鈴木所長と東京支店の事務の女性2人、池田さんと吉村さんと合計4人で気分転換に寒い1月下旬、日本を離れて南国のタイへ、2泊3日の旅へ出かけようと言われ、村下は、了解し、一緒に行くことにした。

 当日、成田空港を13時に出発してタイ・バンコクまでの直行便で6時間、バンコクに日本時間19時「時差が2時間」で、現地時間17時に到着予定。順調に、出発して、機中の人となった。村下は、お酒を少し飲み、すぐ眠た。バンコクの空港に着陸30分前、鈴木所長が、村下を起こした。空港から、タクシーで、バンコク市内へ向かった。

今回は、奮発しマンダリン・オリエンタルを予約し、チェックインして部屋に荷物を置き、川沿いのレストランで飲みながらディナーとしゃれ込んだ。まず、ビール、シャンパンで、乾杯し、ちょっと甘辛いタイ料理を楽しんだ。仲間たちは、早めに寝たが、村下は、飛行機で熟睡したせいか寝られず、ホテルのコンシェルジュに日本人が行っても安全な飲み屋を聞いた。

紹介された店は、徒歩5分位で、その店の名は沙織だった。店に入ると店員さんが、たどたどしい日本語で、いらっしゃいませと言い。川面した窓側の席に案内された。ビールと、あまり辛くない、つまみを頼むと野菜サラダと鶏肉の唐揚げが来た。村下は、ちびちびとやっていた。22時を過ぎて、少し店もすいてきた頃、店のママが、挨拶に来た。

うす暗いので、最初、顔が良くわからなかったが、近づくと、何と、立川の行きつけのスナックの「さおりママ」ではないか。村下と対面すると、最初、困った顔をした。しかし、気を取り直したのか今日は、どうしたのと聞いた。それは、こっちが聞きたいよと笑いながら答えた。仕事で、疲れたので会社の連中と冬でも暖かいバンコクに遊びに来たと告げた。

 彼女が、世の中って狭いねと言い、これ神の思し召しかなと、ふざけながら話した。ママと清水さんが、博多港で車を乗り捨て船で釜山に渡った所まで、わかったが、その後、全く消息不明でになった。心中でもしたのかとか周りの人は、心配したんだと強い口調で訴えた。ごめんね、みんなに迷惑かけてと、かるく謝った。

 その後の事を聞くと、最初は、楽しかったが、香港で、数週間、過ごし、飽きてバンコクに流れ着いた。バンコクでは、清水さんの方が。日本語が通じないし、仕事もないくて飲んでばかりで、彼女の金も少なくなり喧嘩する日が多くなり、若い現地の女と、どっかへ逃げたと語った。それでも生きていかねばならないので日本人富裕層の人に仕事を紹介してくれ頭を下げた。

 そのうち日本人ママが、体調を崩した店で、雇われママとなったと打ち明けた。今は、まともなマンションと暮らしを手に入れたと喜んでいた。日本へは、誰かに連絡しているのと聞くと、両親はなくなり兄弟とも不仲で、誰とも、連絡してないと話した。

 何か、身の上相談みたいになって暗くなったので気分転換に歌を歌った。その後、歌に会わせママと楽しく踊った。その後0時閉店。その後、彼女のマンションが、近いから、そこで飲み直そうと言われ、言われるままについて行った。こぎれいなマンションで2LDKで川風も感じる事のできる良い部屋。うまいウイスキーがあるからと出してきて、再び、乾杯した。

 2時過ぎ、村下はタクシーでホテルに戻った。翌朝、村下は、9時過ぎに起き、朝食を食べに、ホテルのレストランへ行くと鈴木所長と女性たちが、早朝の川べりを散歩し、その後、船に乗って来て朝食を終え、珈琲を飲んで歓談していた。

 村下の眠そうな顔を見て、昨晩は、どうだったと聞いたので、調子に乗って、歌って、飲んで、帰りが遅くなったと伝えた。鈴木所長が、一緒にバンコク市内観光ツアーに行かないかと誘った。疲れたから、エアコンの下で休んで夕方から動き出すと告げると、彼らは、出発した。
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