第1話:多摩営業所での歓迎会

文字数 1,716文字

 明日から、立川の多摩営業所に転勤してくれと言われ石井支店長から辞令をもらった。翌日、多摩営業所へ出た。多摩営業所の田中所長は、ベテランで、たたき上げ社歴25年の、厳しい事で有名だった。早速、会議室で面接をして所長から多摩営業所では、都内チームの成績は良いが、山梨県が、遅れてると言われた。

 そこで山梨県の市場開拓が、遅れていて、我が社の市場占有率が民力度の半分にすぎないのが、最大の問題点であるとの説明を受けた。そこで君に、山梨県での市場開拓をはかって欲しいと依頼された。長野県での成功体験をこちらでも、発揮してもらいたいとの訓示された。

 具体的な作戦は、来週の会議で、議論しようと伝えられ、関連する営業資料の束を渡された。この資料をよく読んで、意見を聞かせてくれと言われた。今日は、内勤で良いから、この資料を読んでくれと指示された。わからない事や質問があったら、気兼ねせず、聞いてくれと言われ、会議室で、内勤した。

 翌週の営業会議で、早速、山梨県の市場開拓をどうしたら良いか、意見を聞かせてくれと、所長からの発言で、村下が、話をする事になった。まず対策を短期対策と中長期対策分けた。短期対策としては、卸さんとの関係強化が急務。具体的には、山梨県、訪問時は、毎日え件の卸訪問をする必要がある。

 中長期対策は、中心病院である山梨医科大学を中心として大型病院での情報収集の徹底。たとえ、時間がかっかても、先生方の情報をしっかり把握する事が、市場開拓のキーポイントだと語った。その晩、歓迎会で多摩営業所の所員を紹介された。まず、新人の足立君、ベテランの三年先輩の清水君。

 さらに、一年後輩の山下君、二年後輩の渡辺君、田中所長と村下を含め6人体制。山梨県は、所長が、月2回程度、訪問するが、担当者は清水君である。所長の弁では清水君は担当して10年でマンネリ化しているのかもしれないと心配していた。また、山梨県は、よそ者を受け入れない気風で難しいと述べている。

 実際に、清水君の経験から厳しい土地柄で新規開拓は非常にむずかしいと弱音ばかり、吐いてる様だった。田中所長の計画では、いずれは、清水君の後任として村下に頼みたいとの意向のようだ。その晩、村下の歓迎会が始まった。村下が自己紹介を終えて歓談が始まった。 

 清水君が、やり手の村下さんが来れば、伸びて良いんじゃないですかと嫌みな言い方をしたが、ライバル心、むきだしの様子。その他のメンバーは、総じて、好意的で、新人の足立君は、所長に入れ知恵されたのか、驚異的な実績を残した村下先輩の営業方法を学んで、できる営業マンになりたいですと、歯の浮く様な、お世辞を言った。

 2次会はスナック「すずらん」立川でも、ちょっと裏通りに入った目につきにくい店。ママ、さおりは、水商売のベテランで、相手の弱い所を探し出す名人と評判のやり手、ママだった。所長に紹介され自己紹介しようと思うと軽く手で制止され村下の顔をじっとみつめた。

 次に、手相を見た。村下さんは、ハンサムで真摯ですが、意外と。したたかね、と不適な笑みを浮かべた。所長さん、うかうかしてると寝首をかかれるよと笑いながら言った。所長の顔が、突然、曇ったのを村下は、見逃さなかった。妙な空気になったので、自己紹介代わりに、得意の洋楽の歌を披露した。歌は、受け、店の女の子も村下に釘付けになった。

 そして、宴もたけなわ、他の人の歌に合わせ店の女の子と踊った。帰り際、村下が、店の女の子のハートは、つかんだ様で、女性達は、うっとりとした目つきで送り出してくれた。ただ、ママは、目を見開いて笑ってはいるものの内心、面倒くさい人が来たなと思っているように見えた。その後、このママと、文字通り面倒くさい騒動に巻き込まれるとは予想できなかった。

 その後、多摩での村下の担当は、地域の大学病院、大型病院中心だった。田中所長は、特に大学病院大型病院の情報収集と、その情報の所員との共有化を要求していた。いつもの様に、挨拶回りから、はじまり数週間が過ぎた。訪問しての印象としては、都会は患者さんの数や先生の数、情報量は、地方と段違いの多さで、久しぶりに面食らった。
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