結依 24歳

文字数 1,087文字

「はぁー、うそでしょー?またバイトの面接落ちたよ」
私は今、二十四歳!高卒だから、大学へは行かなかったけど、高卒からバイトを転々としながら実家暮らし中。
一人暮らしの為に、バイトして資金を貯めようと思ったけど、今、まさに!バイトの面接に落ちました…。

そう、結依(ゆい)は頭の中で文字を浮かべた。
漫画家志望の女性である。
結依は幼い時から絵を描くのが好きだった。
ただ、好きなだけで絵の方の評価はイマイチだ。
それでも結依は、諦めきれない夢に希望を抱いている。
結依は”変わった夫婦”の家庭で育った。
この国は、他国と違い「多夫一妻制」というものを導入している。
「一夫多妻制」や「一夫一妻」という所もあるが、この国では、女は何人もの男と結婚しても良い事になっている。
なぜそうなっているのかは、結依は全く興味出さず、知らないまま過ごして来た。
さらに両親は一夫一妻なので、意味不明のまま過ごしている。
結依の中で、結婚というのは「多夫の姑とのバトル」しか頭になかった。
実際、問題が起こっているから、そういう認識があり、結婚=良くないものと、捉えてきた。
さらに結依は、自分はモテない、多くの男性からアプローチされない人生を送ってきた為、結婚は自分にとって、無縁のものと考えてきた。
結婚よりも、漫画家になって、沢山の動物を飼って、自由に暮らすんだ!と思っている。
さらに、結婚は晩婚傾向と、占いで良く出る為に、結婚は晩婚!と信じている。
そんな結依は今、アルバイトの面接に落ちた事でそれどころではない。
「はぁ、絶望しかないな…」
結依は家の中でそんな独り言を呟いた。
両親は今、仕事に行っていて、結依一人である。
結依の他に兄弟は、姉が一人いるが、姉は早々、就職してその会社の独身寮に住んでいる。
姉は結依とは違い、男勝りで仕事が出来るタイプのキャリアウーマンタイプで、仕事人間として生きている。
同じ親から生まれてきたとは、思えないほど、結依とは似ていない。
見た目も性格も、正反対だった。
もちろん結依は、勉強もスポーツもダメな、ダメダメ人間だ。
仕事も出来るタイプではなく、バイトを転々としているのも、嫌になって辞めてしまうからだ。
「はぁー、なんでこんなにも、私ばっかり人生、上手く生きられないんだー!これもお姉ちゃんが、私の分も親の良い所ばかり取ってったからだ!私が生まれる時は、親の遺伝で良い所は残されてなかった!全てお姉ちゃんのせいだー‼」
結依はやけになって、テーブルに置いてあった求人広告をばら撒いた。
しかし、結依にはまだ分かっていない…今後、大切な人と出会う事を、しかも二人も大切な人がいるという事も…。



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