終末少女兵器X 2話

文字数 1,356文字

エマ、聞いてほしいことがあるの……
検査室へ向かうエマに小声でルーは囁いた。
なんだよ、エマ?
エマもルーに合わせて、小声で聞き返した。
さっき、聞こえたの……あの子、私を助けたいって言ってる……
それを聞いて意味不明なエマは聞き返す。
それは、どういう意味だ?
ルーは首を振り答えた。
わからない。でも、あの子と目が合った時に、そう聞こえたの……。 上空には今も、あの子達の仲間がいるみたい。 それが何かと戦っているらしいの! それで、同族になった私を助けたいって言ってるの……
それを聞き、エマはルーの肩を強く握りしめる。
同族!? 研究員(アイツら)に何かされたんだな!
ルーはうつむき、頷いた。
私、エマみたいに戦闘タイプになれないみたいなの……それで、私は別の手術をすることに……
それを聞いて、エマは肩を握りしめた手に力が入る。
その手術って……まさか……ルインやナンシーが受けた手術じゃないよな!?
ルーは、わずかな沈黙のあと、震えながら頷いた。
どうして、そんな手術なんか受けたんだ!?
そのあと、ルインやナンシーがどうなったか、お前も知っているだろう……どうして……なんだよ……
元気なエマが珍しく落ち込み、目には薄っすらと涙を貯めていた。
エマ、私にとってはこの施設は家みたいなモノなの。 そして、エマは私にとって、一番大切な家族なんだよ。 手術を受けなかったら……私はここには居られなくなる……ここには、利用価値のある子しか居られないの……私は何があっても、家族のエマとは離れたくなかった……だから、手術を受けたの……
それを聞き、エマは大粒の涙を流した。
それでも……アタシは離れ離れになっても……ルーには生きていてほしいんだよ……アタシら、大切な家族だろ!
エマの優しさを感じ、ルーはエマを強く抱きしめる。
ありがとう、エマ! エマは何だかんだで、優しいから手術の事を言い出せなかったの……それに研究員(あのひとたち)は、私が拒否しても、手術を実行するはずよ……そのために私達はここで生まれたのだもの……

その言葉には説得力があった。


そのためエマは、その事に歯がゆい気持ちで唇を噛んだ。

……ところでルー! 手術後は大丈夫なのか? 体の痛みとか、具合が悪くなったりはしてないか?
ルーは大丈夫だよという感じで、軽くエマに微笑む。
最初は色々と辛い事は時々あったけど……最近は安定したみたいで平気だよ!

それを聞き、エマは安心した感じで肩を撫で下ろした。


「ガジャーン!!」


次の瞬間、凄まじい衝撃音が施設内を襲った。


そして、警報とアナウンスが施設内に響きわたる。

日本上空でMk2とMk7が交戦中、続いてアメリカ上空ではMk3、Mk5、Mk9が交戦開始
続いて、ロシア、中国、インド、フランス上空にも出現
当施設員は直ちにシェルターに避難して下さい
それを聞いたルーは、シェルター方向とは違う方角へ走って行った。
ルー、どこへ行くきだ!?
ルーは息を切らせ答えた。
あの子をほっとけない!

その言葉を聞いて、エマは水槽の生物の事だとわかった。


それを止めようとエマの手を掴もうとした時、通路の奥の方から得体の知れない生物がこちらに向かって来るのが見えた。


無数にある足をぎこちなく使い、のっそり、のっそり、エマ達の方へ近づいてくる。

アイツ、水槽から出やがったのか!?
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