終末少女兵器X 3話
文字数 2,541文字
エマの必死な叫びを無視し、ルーはその生物の方へ走っていく。
その生物もルーの事を認識したらしく、体の前方を上げ覆いかぶさるような体制になった。
ルーの行動に理解ができないエマは、必死にルーに問いかける。
そして、その生物はルーを覆いかぶさるように包み込んだ。
しかし、その動作はルーを優しく抱きかかえるようにも見えた。
ルーはその生物に包まれ、ルー自身もその生物を抱きしめていた。
エマはその生物の体を見ると、銃で撃たれた穴が無数に空いて、そこからは青い体液が流れていた。
衝撃で強化ガラスが割れ、その生物が出てきてしまい、警備員が銃で始末しようとしたのだろう。
エマ達の光景を遠くから観察している人影があった。
それは主任の女性だった。施設の衝撃で頭に裂傷し、顔の半分は血で染まっていた。
「ガシャン!!」
更なる衝撃が施設を襲い、施設内では黒煙と炎が至る所で発生した。
施設の崩壊もあと僅かという感じになってしまった。
エマは食い気味でルーに尋ねる。
そういうと主任は壁に背を向け、狂ったように笑い出した。
施設は崩壊を始め、主任の頭上の瓦礫が崩れ落ち、主任は瓦礫に押しつぶされ絶命した。
それはエマ達も同じで、エマの上からも瓦礫が振ってきた。
その瞬間、ミューと呼ばれる生物はエマに何かの力を放った。
するとエマは半透明の球体状の壁に包まれた。
ルーはミューに覆いかぶさり、瓦礫を防いでくれている。
ルーは首を振る。
ルーは答える
エマは球体の中で泣き崩れる。
ルーはミューを抱きしめ、エマに微笑んだ。
そういうとエマを包んだ球体が、上空へ舞い上がった。
宇宙を目掛け上昇するドームは凄まじいスピードを上げ、大気圏を越え宇宙空間まで達した。
宇宙空間でも、この球体の中では呼吸もできている。
エマは球体の内側から、地球を見つめた。
すると日本が位置する場所で大爆発が起き、更に各地で大爆発が起こった。
みるみる大地は、世界地図とは違う大陸へと変わっていった。
エマは、人間と動物や生物が死に絶えていく地球を見つめ、絶望し球体の中で大声で泣き叫んでいた。
そして次第に意識は薄れ、最終的には意識を失ってしまった。
※
エマは徐々に意識が戻り始めてきた。
球体は宇宙空間から徐々に地球へと向かっていく。
周りを見ると、エマが入った球体と同じ球体が無数にある。
その中には人間や動物、様々な生物が入っていた。
そして無数の球体は地球の大地へと向かって行った。
いったいどれ程の時間が経過したのだろう、大地は一面に緑で溢れている。
エマが地上に降りると、球体はシャボン玉のようにパンと割れた。
エマはルーの事を思い、泣き崩れた。
そのとき、微かな声でルーの声が聞こえた気がした。