第2話

文字数 1,937文字

「あの廃ビルやっぱりとんでもない秘密があったんですよ!」
「君この前のスマホハック・デスゲームで懲りたんじゃじゃなかったの?」
「いやいや若いから一晩寝ちゃえば嫌なことはほとんど忘れますよ。それよりそもそも先輩がいっしょだったし絶対に大丈夫だって私信じてましたからあんな事たいしたことないっす。てかあの事件はメタな話おそらく導入だったと思うんですよね」
「導入?」
「そうです!スマホハックされたのは、この街の地下に眠っている都市伝説を掘り起こして大いなる真相を究明するためのチュートリアルだったんです。あの廃ビルはローカルで知られてるだけだけのばしょですけど、たぶん稀にみる怪異ホットスポットなんです!あのビル自体が怪異を引き起こす力を持っていて、ブラックホールみたいに闇のパワーを引き寄せる役割をしているんだと思うんです」

「あたま大丈夫?そっち系の医者に行ったほういいかもよ?」
「妄想じゃなくてガチです!でもそういうイケずな感じの先輩がまたよきなんですけどねぇ」

「そういうのいらないけから。でさっき言ってた新しい噂っていうのはどんな?」

「あの廃ビルに関する最新のネタなんです!すっごい大昔の話らしいんですけど、なんて言ったかな・・・えーとたしか帝国軍隊が絡んだ国家規模のダークサイドな極秘施設がなんと!あの廃ビルが建つ前のちょうどあの場所にあったという噂です!」
「帝国軍?ダークサイド?なにそれスターウォーズ??時空を超えた都市伝説?」
「いやいや映画の話じゃなくて実際の昭和のジャパンの話です!」
「それつまり大日本帝国時代のこと?たしか村山台にも旧日本軍の大きな駐屯地があったってなんかで見た気がするけど・・・」
「やっぱりあったんですね!」
「いやいや当時の東京は帝都って言われれてさ、都内各所に日本を守るための部隊とか軍の施設とかたくさんあったらしいよ。だから別に村山台に軍の施設あっても珍しい話しじゃないってば。てかその元ネタもあれでしょ?よくYouTubeのオカルト陰謀論チャンネルとか、ネトウヨおじさん向けのチャンネルにアップさるてるデマ動画じゃないの?」
「いやネットで聞いた話じゃないんですよ!確かなその筋の人から直接聞いた話なんですってば!アラマタっていう超ベテランのオカルト専門家がいるんですけど・・・」

「ん!?ちょっと待って!今アラマタって言った?」
「え?そうですけどアラマタっていう完全白髪頭のかなり歳いった爺さんで、その人が出てたイベントに先週行ってきたんですよ。怪異シーカーキー&ウッシーっていうYouTuber主催の武蔵野ロフトでのイベントだったんですけど、特別ゲストがそのアラマタだったんです」
「え?マジで生のアラマタに会ったの!?もう隠居してるって噂だったけど、まさか現役で活躍されてるなんて知らなかった・・・。それにしてもマユカからその名前が出てるなんてまさか中のまさかだわ。で、アラマタはどんな感じだった?」
「アラマタってそんなに有名な人だったんですか?」

「うんうん大御所ってかオカルト本や超心理学についてたくさん書いてる作家だよ。総ページ数1500頁を超える『平成オカルト大全』や『死者たちのパブリックスペース』って本が昔ベストセラーになったはずだし、ノリや流行りのガキ向けの作家じゃなくてガチのオカルト専門家だよ。私も何冊か持ってる」

「さすが先輩ようするにそれオカルト属性限界突破済みってことですね!まぁ私はそんな分厚い本読めないってか読む気にもならないですけどね」
「で生アラマタは何を言ってたの?」

「うーんとちょっとその話し長くなりそうなんで、どっかで会って話しません?」

「いいよ。私もアラマタの話聞きたいし」
「今何処にいるんですか?」
「村山台駅の近く」
「それじゃ駅前のワスバーガーでどうです?」
「おーけー」
「それじゃ私もすぐ行きます」

ヨウコはスマホの通話を切ってレイカを見た。


レイカは不安そうな面持ちでヨウコも見返している。

「なんかまた一波乱起きそうだよ。レイカもいっしょにくる?」

「もうやめたほうがいいんじゃいの?」
「いやいやアラマタの話を聞くだけ。遅くならない程度につきあうけど、そっちにどうするか任せるよ」
「うーん・・・」

「マユカも不思議な経験をしてあのビルのヤバさをわかってるから、あの最悪の異世界での話も気兼ねなく話せるんじゃない?」

「いやマユカはわかってないと思うよ。またあの廃墟に行く気だって」

「いやさすがにそれはもうないでしょ」
「いやヨウコはまだあの子のことわかってないよ」

「とりあえずいっしょいこうよ。まだ調子こいて寝ぼけた言うなら私がガツンと言うし、レイカも言ってやりなよ、部活の先輩として教育的指導をさ」
「うん・・・」
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登場人物紹介

芹沢ヨウコ。都立雛城高校二年生。実質なにも活動していない茶道部所属。紙の本が好きで勉強も得意だが興味のある事しかやる気が起きないニッチな性格のため成績はそこそこ。根はやさしいくリーダー気質だが何事もたししても基本さばさばしているため性格がきついと周りには思われがち。両親の影響のせいか懐疑派だが実はオカルトに詳しい。

水原レイカ。都立雛城高校二年生。芹沢ヨウコとは同級生で友人同士。弓道部所属して結構マジメにやっている。母子家庭で妹が一人いる。性格は温和で素直。そのせいか都市伝説はなんでも信じてしまう。ホラーは好きでも恐怖耐性はあまりない。

唯々野マユカ。都立雛城高校一年生。性格は明るくルックスよき。故に男子生徒から人気がある。それを自覚した振る舞いの出来るしたたかな面もある。弓道部所属で、”赤い目の女”編と天国と地獄”編に出た水原レイカの部の後輩。適当に入った部なので、皆からそのうちやめるだろうと言われている。レイカつながりでヨウコと知り合い一部からバカ勇者と揶揄されるヨウコのズバズハ物を言う気の強さの反面さばさばした感じのギャップを感じ、変なあこがれを抱いている。

コタロー。村山台の若い雄の地域猫。もともとナレーター系猫だったが、"天国と地獄"編で遭遇した始祖人類から能力を開花されて神視点を手に入れたことで、場所に関係なく遠隔ナレーションことが可能になった。

富等井セイナ。恋するメンヘラキャンパスのヒロイン。

四方木タクト。恋するメンヘラキャンパスの主役富等井セイナの大学の先輩で恋人役。

君島キリト。怪異SEEKER-Keye(キー)&UCCy(ウッシッシー)というYouTuberのコンビで愛称はキー坊。ディレクションかつカメラ担当。映像クリエイーターを目指しエンタメ系の専門学校にかよっているなか、高校時代の友人だった牛山シオンと組んで動画配信を始めた。YouTube登録者数17万人のチャンネルを運営していて、視聴者の投稿を頼りに全国の有名廃墟や、未発掘のいわく付き物件を探しては遠征している。

牛山シオン。怪異SEEKER-Keye(キー)&UCCy(ウシッシー)というYouTuberのコンビで愛称はウッシー。MC担当。テンションの高さとフィジカルの強さが自慢。ピザ屋の配達と引っ越し業で鍛えた体で各地の危険な場所にも前のめりに潜入する肉体派。YouTuberとして有名になった後でも、引越センターに頼りにされおり、筋トレ代わりに引っ越し業でこなしている。

この辺りのボス猫で結構な年齢のオス猫。名前は助蔵。コタローの後見人的な存在でもある。

店員。

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