第3話

文字数 4,530文字

ヨウコとレイカは村山台駅から歩いて間もない踏切のある交差点の一角にあるワスバーガーへ向かった。
「いらっしゃいませっ」
「どうしようかな?とりあえずポテトと飲み物かなぁ・・・?レイカはどうする?」
「私も飲み物だけ」
「それじゃマユカのも適当に頼んでおくか・・・。すいませんそれじゃアイスコーヒーと・・・・」
注文を終えた二人は店内のガラス越し窓際の長テーブルの席着いた。他に数人先客がいたが空席の方がおおく店の中は穏やかな感じだ。
「久しぶりにここ来た気するね」
「うん、あとドリンクちゃんと代払うよ」

「いいっておごるよ」
「いやダメだよちゃんと払わないと」
「・・・それじゃ次回はおごってよね」
「うーんそれじゃ・・・次は払うから」
「つうかマユカから電話来る前、"恋するメンキャン"の話してたんだよね」
「そういえばそうだったね」
「タクトがセイナを見つけるシーンはたしかに村山台駅だったのかもね。こんあ身近でロケのドラマなんて初めてかも」
「そういうのってTV局のロケ班とかいうのがよさげな場所をリサーチしてその中から話し合って決めるんでしょ?」

「うんうんたぶん。にしてもさぁなんでこんな中途半端な駅を選んだんだろうね?」

「それ若干地元ディスに聞こえるけど、まぁ言われてみれば・・・」
「でしょ?だってもっとふさわしい駅あると思わない?例えば、登戸とか調布とか吉祥寺とか見栄えもいいしあるもっt大きい駅の方が」
「おまたせしました〜ご注文のポテトとドリンクです」
「あっどうも・・・。それじゃポテトでもつまんでさ。あいついつ来るかわからんし」
「それじゃ頂きまーす」
「そう言えばマユカから電話来る前、"恋するメンキャン"の話してたよね」
「うんうん」
「たしかにタクトがセイナを見つけるシーン村山台駅かもね。こんな身近でさロケやったドラマなんて初めてかも」
「そういうのってTV局のロケ班とかいうのがよさげな場所をリサーチして、その中から話し合って決めるんでしょ?」
「うんたぶん。にしてもさぁなんでこんな中途半端な駅を選んだんだろうね?」
「それ若干地元ディスに聞こえるけど、まぁ言われてみれば・・・」
「でしょ?だってもっとふさわしい駅あると思わない?例えば、登戸とか調布とか吉祥寺とか見栄えもいい大きい駅の方がさ?」
「まあ確かにそうかも」

「ちょっと不思議に思ったんだけど別気にするほどでもないか・・・」

「村山台は地味だし地名度低い駅だけど、あのシーンめっちゃエモかったし"メンキャン"ファンも今や右肩上がりっていうから、聖地巡礼で村山台駅にみんなこぞって来ちゃうかもよ」
「あぁそれはやだなぁ。ムダに人がゴミるのは勘弁!」
そんなんで二人が"メンキャン"話に盛り上がっていると、自動ドアが開きマユカが店内入ってきた。カウンターに進みながら安定の笑顔で二人に手を振った。
「きたきた」

「私はあの廃墟に行くのが勘弁だよ」
「わかってるって。私もそんな気ないし」
注文を終えたマユカが二人のもとへやってくる。

「どうも〜先になんか頼んでくれてたんですか?」

「うん」
「やさし〜先輩さいこー!それじゃミルクシェーキいっただきます!私ハラ減ったんでハンバーガー頼みましたけど」
「どこいってたの?」
「ないしょです♪」
「ないしょって何よ?」
「弓道部休みだし」
「まぁいろいろやることがあるんですって。光陰鬼速し恋せよ乙女って言うじゃないですか♪高度情報化社会では、空いた数分をうまく使っていかに先手を打つかで明日が天国か地獄を決めるんです!」
「なんか分かった風なこと言うよねぇ?まずそれ言うなら命短し恋せよ乙女だろって」
「まぁまぁ細かいことは抜きにして、アラマタは確かに切れ者って感じでしたよ。パット見地味な老人だけどトークもキレてたし理屈ぽい話もけっこう説得力在りましたしね」
「いやぁ・・・知ってれば私も行ったのになぁ」

「だって〜先輩誘ってもYouTuberとか興味ないだろうし、くだらん!とか一刀両断にされそうだなって思って」
「まぁ次あれば私も行くかも」
「ヨッシャー!次は是非いっしょに行きましょうよ♪」

「おまたせしましたぁ」

店員がマユカの頼んでいた注文を運んできた。
「うわすご!これ全部食べるつもりなの?」
「いやぁ多めに頼んだので食べたかったらあげますよ」

「マユカ一年の中でも身長ある方だよね?」
「ええ、絶賛成長中の166cmです。どういうわけか食べても横には増えないんですよ」

「どうぞ気が済むまで養分取りなさいな」
「でも一個多いんで地鶏バーガーたべていいですよ」
「あっそれじゃレイカと半分ずつもらうか。で、さっき電話で言ってたアラマタから聞いた新しいネタってのはどんな話なわけ?」
「モグモグ・・・え〜と、はいはい。なんでも帝国の時代の日本軍の極秘施設が村山台にあったらしくてぇ。その場所は何を隠そう!あのビルの場所に大昔にあったらしいんです。その地下室が今もそのままの状態で、廃ビルのコンクリート床下に埋まって存在している・・・みたいな?」
「マジで?まぁアラマタ先生が言ってるとすれば、何かしっかりした証拠があるのかもねぇ・・・。でもそれをマユカが生で聞いたっていうのうらやましいてか悔しいなぁ」
「てへっ♪モグモグ・・・」

「マユカさっきそのイベント、キー&ウッシー主催って言ってた?」
「そうそう、オカルト系YouTuberのキー&ウッシーです。結構人気あるらしくてロフトは客でほぼ満員でしたよ。まぁ私も実は私もメンバーシップ入ってたりしてますけどね」

「そのイベント中で、異世界に行っちゃいました!とかネズミに変身されちゃった!みたいな話してなかった?」
「ん?なんですかそれ?なろう系アニメの新作とか?」

「いやまぁ知らないならいいんだけど・・・」
「てかアラマタ先生を呼べるってことは、割とちゃんとした奴らなんだね。チャラい感じだったけど名ばかりじゃなくて真面目に怪異シーカーってことか」

「そういえばヨウコ、あっちの世界から廃墟ビルに戻れた時キー&ウッシーと一緒だったんでしょ?連絡先とか交換しなかったの?」

「いやぁ特になにも・・・てかあいつら気絶してて私もあの時必死だったし話もしてないわ」
「えっ?先輩!彼らとも知り合いなんですか!?」
「知り合いって言えばそうだけど・・・たまたま一回だけ会っただけでその場に居合わせたみたいな感じだけど」
「なんか世界ってめっちゃ狭くですね。まさかキー&ウッシーとアラマタどっちも知ってるなんて」
「それより、旧日本軍の極秘施設が地下にあるってどういう状況なの?それ以上の詳しい情報はないの?」
「いやアラマタもまだ詳しい調査はしてないみたいです。役所の記録とか戸籍みたいなそういう書類からして、あの場所に存在していたあことは間違いないみたいです。どんな施設かっていうのは、生物化学兵器?っていうんですかねぇ?その軍の施設には地下研究室があって、そこではなんでも禁忌の特攻兵器を作ろうとしていた!みたいな証言を見つけたらしくて。その地下室を埋め立てられてその上に、あの廃ビルが作られたらしくて。だから今もあのビルのコンクリートの床の下にそのままの姿で秘密の地下室が眠っているんじゃないかっていうことなんです」

「なるほど、マユカにしてはちゃんとした説明できてんじゃん?アラマタの話をちゃんと聞いて来たんだねぇ」
「もちろんです!ってかライブをスマホで録音して家帰ってから聞き直したんですけどね」

「おおっやるじゃん!その音声データあとで私にも送ってよ」
「いいですよ」

「・・・にしてもすんごい話だね。アラマタから直で聞いたってことは信ぴょう性高いし実際あり得る話かも」
「でもそれが本当ならなおさらヤバない? 最初に聞いたあのビルの心噂は"赤い目の女"だったのに、実際はそれとは別の怪異に遭ってるわけで、ネットにある子供の霊や、浴衣をきた古風な霊の噂を含めて一体いくつあるんだ!って話だよ」
「私が最後にあそこで見たのは骸骨のサラリーマンみたいな霊でした。そもそもただの夢だった説もありますけど・・・」

「まぁ私も同じ夢見てるしね。夢遊病や狐憑きだとしても二人とも完全中身がシンクロしてるなんてありえんて」
「私と先輩の相性がエグすぎたせいかもしれませんね」

「私はさ、あのビルの五階でヤバい男に会ったんだ・・・自称ビルオーナーを名乗った老人で、異世界転生物語がめちゃくちゃ嫌いなのに、自分が異世界転生しちゃってるっていう複雑怪奇なやつでさ。しかも私も異世界転生してて、そこは白くて魔法が使える不思議な世界だった。たぶんあの廃墟ビルには人間が太刀打ち出来無い恐ろしい秘密があるんだと思う。もしかしてだからあのビルを誰にも解体できなくて残っているんじゃないかな?」

「ちょっとレイカ先輩、顔も話し方もまるで陰謀論者なんですけど、今のもしかして全力でボケてます?」

「いやそうじゃないって!わかんないかなぁ?だってマユカもあそこでホラー映画みたいな経験を実際にしたわけでしょ?スマホハッキングされてわけわからん目に!?」
「まぁそうですけど、ワンチャン夢だったっていう説も成り立ちますし・・・それでも間違いなく不思議な経験には違わないですけどね」
「そのヤバい老人を私も会ってるのよ。そんでレイカは私よりもあいつに散々な目に会ってさぁ。説明して理解してもらうにはあまりにも現実離れしてる体験だからさ。荒唐無稽に思うの無理もないとおもう。でもそれはまぁ置いておいて、いづれにしてもアラマタはまだあの廃墟ビルを現地調査をしてないわけね?」
「はい。最後の情報の裏取り中だって言ってました。でも陰謀論者じゃなくてヨウコ先輩も認めるアラマタの直話ですからね。もし地下へ降りる入り口とか私たちが最初に見つけたら、そりゃあ動画配信者がよだれ垂らしそうな価値あるネタなんじゃないですかね?」
「うーんでもさ、あそこに地下室への階段なんてないよ。壊れたエレベーターがあってそのパネルにもB1とかなかったし」

「更地にしてから地上に建てたって言ってたらからそりゃそうですよ。問題は封印された見えない地下なんです」
「地下掘るわけにいかないでしょ?だたの高校生なんだから・・・」

「確かにそうだよね」
「でも見るだけでも行ってみたいなぁ」
「まぁそう言うとは思ったよ。もうすっかり暗くなってるし今日は無理だよ」

「それはわかってますよ。私もあそこに入るのは先輩と違ってテイコウありますし、ちゃんと計画的に行きましょうよ」
「結局行くの・・・?」
「レイカの言うとおり私もあそこには大きな秘密があるんだと思ってる。その原因なのか結果なのか分からないけど、地下に何かが眠っているって言う説はありえるし興味出てきた!」
「でしょでしょ!?」
「特に何も見つからなくてもそれはそれで納得だしさ。とりあえず私もそのマユカの撮ったアラマタの録音を聞いて情報を精査して、あとちゃんとしたマグライトとか探索の装備を用意して明るい内に行くっていうのがよくない?」

「賛成です」
ヨウコとマユカはいっしょにレイカの顔を見た。
「私は賛成・・・できないかなぁ」
To be continued.
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登場人物紹介

芹沢ヨウコ。都立雛城高校二年生。実質なにも活動していない茶道部所属。紙の本が好きで勉強も得意だが興味のある事しかやる気が起きないニッチな性格のため成績はそこそこ。根はやさしいくリーダー気質だが何事もたししても基本さばさばしているため性格がきついと周りには思われがち。両親の影響のせいか懐疑派だが実はオカルトに詳しい。

水原レイカ。都立雛城高校二年生。芹沢ヨウコとは同級生で友人同士。弓道部所属して結構マジメにやっている。母子家庭で妹が一人いる。性格は温和で素直。そのせいか都市伝説はなんでも信じてしまう。ホラーは好きでも恐怖耐性はあまりない。

唯々野マユカ。都立雛城高校一年生。性格は明るくルックスよき。故に男子生徒から人気がある。それを自覚した振る舞いの出来るしたたかな面もある。弓道部所属で、”赤い目の女”編と天国と地獄”編に出た水原レイカの部の後輩。適当に入った部なので、皆からそのうちやめるだろうと言われている。レイカつながりでヨウコと知り合い一部からバカ勇者と揶揄されるヨウコのズバズハ物を言う気の強さの反面さばさばした感じのギャップを感じ、変なあこがれを抱いている。

コタロー。村山台の若い雄の地域猫。もともとナレーター系猫だったが、"天国と地獄"編で遭遇した始祖人類から能力を開花されて神視点を手に入れたことで、場所に関係なく遠隔ナレーションことが可能になった。

富等井セイナ。恋するメンヘラキャンパスのヒロイン。

四方木タクト。恋するメンヘラキャンパスの主役富等井セイナの大学の先輩で恋人役。

君島キリト。怪異SEEKER-Keye(キー)&UCCy(ウッシッシー)というYouTuberのコンビで愛称はキー坊。ディレクションかつカメラ担当。映像クリエイーターを目指しエンタメ系の専門学校にかよっているなか、高校時代の友人だった牛山シオンと組んで動画配信を始めた。YouTube登録者数17万人のチャンネルを運営していて、視聴者の投稿を頼りに全国の有名廃墟や、未発掘のいわく付き物件を探しては遠征している。

牛山シオン。怪異SEEKER-Keye(キー)&UCCy(ウシッシー)というYouTuberのコンビで愛称はウッシー。MC担当。テンションの高さとフィジカルの強さが自慢。ピザ屋の配達と引っ越し業で鍛えた体で各地の危険な場所にも前のめりに潜入する肉体派。YouTuberとして有名になった後でも、引越センターに頼りにされおり、筋トレ代わりに引っ越し業でこなしている。

この辺りのボス猫で結構な年齢のオス猫。名前は助蔵。コタローの後見人的な存在でもある。

店員。

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