第4話

文字数 2,019文字

「私は賛成・・・できないかなぁ」

新たに手に入れた噂の探索についてやる気満々のヨウコとマユカに対してレイカは気乗りしない様子だった。核戦争後の世界で彼女が経験したことを思うと無理ないかもしれない。
「行く行かないはそれぞれ自由、別に気にしないでよ」
「うん・・・」
「ヨウコ先輩と二人でもOK、行きましょう!」
「私はシンプルにアラマタの説を確かめに言ってみたいわ。知らない内になにかヤバいものに取り憑かれてひっぱられてんのかもしれんけどハハハ」
「笑ってられるのは運よく帰ってこれたからで、三度目にその運が続いているとは限らないよ」
「レイカ先輩考え過ぎだと思いますよ。私スタンガン持ってるし、あと子供の時に空手を習ってたんで下手な男子より近接格闘やれますから」
「空手やってたの?」
「一応黒帯です♪」
「意外だけどそれすごく心強いわ。てかっそういえばマユカ、前にスキンヘッドのマッチョにハイキックいれてたよね?あの動き普通できないよね。でも今聞いて納得だよ、そういうことだったんだね」
「でももう辞めてるんですけど、体に染み込んだ動きは必要なときに勝手に出るんですよね。3歳の時から10年くらい父親に鍛えられてたんでヤバい時はまかしてください!」
「相手が人間じゃなかったら格闘技出来ても意味なくない?」
「その時はスタンガンかましますよ!そりゃー!!って」
「スタンガンて効くのかな・・・?」
「たしか十万ボルトくらいの高電圧を放電するから、ワンチャン幽霊や人外にも効果あるかもよ」
「そういうもんなの?」
「あと私、廃墟探索の初心者向け動画をみたんですが安全靴と厚手の手袋は最低限必須って言ってました。ダサいのはやですけど、かわいいのあれば手に入れておきます!」

「確かに安全靴は大事っていうよね。なに落ちてるかわからないし鋭くて尖ったものとか落ちて踏んだら最悪だもんね。いまさらかもだけど私も手に入れておこうかな」
「もう何をいっても止められない気がしてきたよ・・・」
「てかマユカ、ハンバーガー全部食ったの?それ晩御飯?」
「いや帰ってからも時間置いて食べますよ」
「大食かん!だよね」

「中身は男なんじゃね?」
「それセクハラですよ」

「冗談だよ冗談。 あとそうえば、外国のドキュメンタリ番組で、地下の古代遺跡を調べるために超音波装置を使ってるのを見たんだよね。あれってどのくらいの値段なのかわからないけど、そういうマニアックな道具もアマゾンで手にいれられるか調べてみるよ」

「それヤバ!なんかプロっぽい感じですね!素人が使える機械なんですか?」

「わかんないけど調べるのはただじゃん?週末に行くとしてまだ3日あるからさ、他に何かいいアイデアがあればやれることは全部やっておこうよ」
「了解!」
「それじゃぁ・・・やっぱり私も行く方向で」
「行く気になったの?」
「私だけ行かないで二人になんかあったら嫌だし、そこまでガチで用意してやろうっていうなら、私もまだためらってるけど、自分も行く気で、あそこのビルのこともう一回調べて見ようかなってそんな気がしてきた」
「おおぉ!三人なら怖いものないです!!」
「実はレイカがこの一連の出来事の発端だからね。実際行くのはどうかは当日レイカの自由意志で、トリマ今週の土曜日、時間は昼で、一階のみ探索、誰か屋内にいれば中断、無理はしない、基本これでどう?」
「異議なし!」
「うんオッケー」
「よし決まった!じゃぁ今日はこのへんで帰ろう」

ということで三人は店をでると、そこでマユカは手を降ってひとり道路を歩いて行き、ヨウコとレイカは村山台駅に向かった。


ヨウコは電車が違うレイカとそこで別れて、下り列車に乗ってひとつ隣の駅、白砂台駅に下車した。


そこから家まで住宅街を歩いて五分ちょっと。
「ただいま〜」

「お帰り〜ご飯すぐ食べるの?」
「あとで食べる」
「はいはい」
そしてヨウコは二階へ上り自室のドアを開けた。
「帰ったよ〜♪」

「にゃ〜」



「疲れったあ〜。でもレイカようやくちょっとは元気になってみたいでよかった・・・」


といってヨウコはじゃれ始めたが、実は僕はこの家の飼い猫になったのだ。

以前のとある事件に巻き込まれた際に、異世界からきた謎の怪人に体をいじられて謎の改造を施されてスーパーコタローになった僕は、その後すぐヨウコといっしょにレイカを救うためのミッションに挑みそれを成し遂げた。そして皆無事でこの元の世界に帰ってくると、僕は普通の姿に戻っていて時空を超える力も言葉を話す能力も失なってしまったが、なぜか物事を俯瞰する神視点で物事を見る能力だけは残っていたのだった。

以前からこの物語を呼んでいた読者は、今回の物語の冒頭から違和感を感じたかもしれない。

つまり僕はその場にいなくとも遠隔地から状況を伝える能力を手に入れたのだ。だからこれからはもう、物語を作るのに面倒くさい設定のことを考えず都合よく書ける、と作者も喜んでいるようだ。


To be continued.
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登場人物紹介

芹沢ヨウコ。都立雛城高校二年生。実質なにも活動していない茶道部所属。紙の本が好きで勉強も得意だが興味のある事しかやる気が起きないニッチな性格のため成績はそこそこ。根はやさしいくリーダー気質だが何事もたししても基本さばさばしているため性格がきついと周りには思われがち。両親の影響のせいか懐疑派だが実はオカルトに詳しい。

水原レイカ。都立雛城高校二年生。芹沢ヨウコとは同級生で友人同士。弓道部所属して結構マジメにやっている。母子家庭で妹が一人いる。性格は温和で素直。そのせいか都市伝説はなんでも信じてしまう。ホラーは好きでも恐怖耐性はあまりない。

唯々野マユカ。都立雛城高校一年生。性格は明るくルックスよき。故に男子生徒から人気がある。それを自覚した振る舞いの出来るしたたかな面もある。弓道部所属で、”赤い目の女”編と天国と地獄”編に出た水原レイカの部の後輩。適当に入った部なので、皆からそのうちやめるだろうと言われている。レイカつながりでヨウコと知り合い一部からバカ勇者と揶揄されるヨウコのズバズハ物を言う気の強さの反面さばさばした感じのギャップを感じ、変なあこがれを抱いている。

コタロー。村山台の若い雄の地域猫。もともとナレーター系猫だったが、"天国と地獄"編で遭遇した始祖人類から能力を開花されて神視点を手に入れたことで、場所に関係なく遠隔ナレーションことが可能になった。

富等井セイナ。恋するメンヘラキャンパスのヒロイン。

四方木タクト。恋するメンヘラキャンパスの主役富等井セイナの大学の先輩で恋人役。

君島キリト。怪異SEEKER-Keye(キー)&UCCy(ウッシッシー)というYouTuberのコンビで愛称はキー坊。ディレクションかつカメラ担当。映像クリエイーターを目指しエンタメ系の専門学校にかよっているなか、高校時代の友人だった牛山シオンと組んで動画配信を始めた。YouTube登録者数17万人のチャンネルを運営していて、視聴者の投稿を頼りに全国の有名廃墟や、未発掘のいわく付き物件を探しては遠征している。

牛山シオン。怪異SEEKER-Keye(キー)&UCCy(ウシッシー)というYouTuberのコンビで愛称はウッシー。MC担当。テンションの高さとフィジカルの強さが自慢。ピザ屋の配達と引っ越し業で鍛えた体で各地の危険な場所にも前のめりに潜入する肉体派。YouTuberとして有名になった後でも、引越センターに頼りにされおり、筋トレ代わりに引っ越し業でこなしている。

この辺りのボス猫で結構な年齢のオス猫。名前は助蔵。コタローの後見人的な存在でもある。

店員。

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