【四】深夜の憂鬱
文字数 586文字
「どうかしたの……?」
祐太朗が室内に戻ると、詩織が心配そうな表情を浮かべていった。
「弓永から、電話、だ」
「弓永さんから? 何かあったの?」
「……蓮石の時の報酬がまだだってせびられたんだ」
「こんな時間に?」
時間は深夜二時。そもそも公僕として働いている弓永は朝も早く、この時間は基本的に夢の中だ。仮に次の日が休みだとしても深夜に電話など掛けてこない。それに弓永は蓮石村の件の報酬は自ら辞退していた。
「……あぁ。アイツも切羽――」
祐太朗はハッとした。
「どうしたの?」
祐太朗はスマホに目を落とした。祐太朗は寝る時、スマホは充電器に繋ぎ放しで布団には持ち込まない。充電器があるのもベッドとは反対側にあるソファの傍だ。その日に限って布団に持ち込んでいたのではとも思われるかもしれないが、それはなかった。
何故なら、祐太朗のスマホは霊のパソコン探しでアプリを多用した所為でバッテリーが切れていたからだ。では、誰が、充電が切れたスマホを祐太朗の胸もとに置き、かつ電源を立ち上げたのか。考えられるのは、あの『サロメ』という電話の主だけだった。
サロメ――その名前から考えるとあの電話の主は女性となるが。
「いや、何でもない。しばらく弓永とは距離を取れ」
詩織はどこか納得ができないといった感じで頷いた。
祐太朗が室内に戻ると、詩織が心配そうな表情を浮かべていった。
「弓永から、電話、だ」
「弓永さんから? 何かあったの?」
「……蓮石の時の報酬がまだだってせびられたんだ」
「こんな時間に?」
時間は深夜二時。そもそも公僕として働いている弓永は朝も早く、この時間は基本的に夢の中だ。仮に次の日が休みだとしても深夜に電話など掛けてこない。それに弓永は蓮石村の件の報酬は自ら辞退していた。
「……あぁ。アイツも切羽――」
祐太朗はハッとした。
「どうしたの?」
祐太朗はスマホに目を落とした。祐太朗は寝る時、スマホは充電器に繋ぎ放しで布団には持ち込まない。充電器があるのもベッドとは反対側にあるソファの傍だ。その日に限って布団に持ち込んでいたのではとも思われるかもしれないが、それはなかった。
何故なら、祐太朗のスマホは霊のパソコン探しでアプリを多用した所為でバッテリーが切れていたからだ。では、誰が、充電が切れたスマホを祐太朗の胸もとに置き、かつ電源を立ち上げたのか。考えられるのは、あの『サロメ』という電話の主だけだった。
サロメ――その名前から考えるとあの電話の主は女性となるが。
「いや、何でもない。しばらく弓永とは距離を取れ」
詩織はどこか納得ができないといった感じで頷いた。