【拾壱】再会?

文字数 1,094文字

 祐太朗たちが部屋に着いた頃には零時半を過ぎていた。室内は真っ暗、詩織はもう寝ているらしい。和雅を泊めるとなった際、詩織に確認の連絡を入れていたが、何の反応もなかった。

鍵を開けて中に入ると、祐太朗は部屋に異様な空気が流れているのに気がついた。

「どうしたん?」和雅が問う。

「いや……、気のせいかな。変な感じがする。ちょっと待っててくれ」

 そういうと祐太朗はひとり自室へと入っていった。明かりをつけず、目が闇に慣れるまで手探りで室内へと入っていく。

ひっそりと、ひっそりと……。

 突然、何者かが祐太朗を押し倒した。

 祐太朗は自分を圧迫する何者かに抵抗した。

 すごい力だった。

祐太朗は唾を吐き掛けた。

何者かの顔面に唾が当たったのか、一瞬祐太朗を圧迫する力が弱まった。

祐太朗はそれに合わせて自分を押さえつける何者かにヘッドバッドを喰らわせた。

「痛いッ!」

 聞き覚えのある声だった。

「詩織、か?」

「……ユウくん?」

 どうやら祐太朗を押さえつけていたのは詩織のようだった。祐太朗はため息をついた。

「ごめん。てっきり泥棒かと」

「まぁ、いい。電気を点けてくれ」

 詩織が電気を点けると、部屋全体が顕になった。詩織の額には祐太朗のヘッドバッドでできたアザが鎮座していた。パジャマを着ているところから察するに寝ていたのだろう。

「どうしたの? ずっと帰ってこないから先寝ちゃったよ」

「スマン。一応連絡は入れといたんだけどな。でも、いきなりどうしたんだよ」

「変な物音で目が覚めたんだけど、ユウくんじゃないなって思って。だって、ユウくんだったら、寝室がどこかもわかってるし、リビングや玄関の電気ぐらいなら点けるだろうから……」

「いや、起こしちゃ悪いと思って点けなかったんだ。それより――」

「祐ちゃん!」和雅が上がりこんできた。「大丈夫かいッ?」

 詩織は目をパチクリさせた。

「……夢?」詩織は一瞬キョトンとしたが、すぐに目に涙を溜めて和雅に飛びつくと、今度は何度も何度も和雅の頬に、唇に、キスをした。「カズくん! カズくん!」

「あ、あの、えっと……」

和雅は困惑していた。それもそうだ。見ず知らずの女性に突然抱き締められ、キスをされて困惑しない男性などいないだろう。

「詩織、ソイツは和雅じゃない」

「え……?」

「いや、確かに和雅なんだが、別人なんだ」

「……どういうこと?」

「えーっと……、山田です。山田和雅」

 山田と鈴木じゃ大きな違いだ。
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登場人物紹介

祐太朗だ。


自己紹介は省略。

詩織です!あたしのことは前のを見てね。


今回は……、前回と比べるととても大人しいかな。


よろしくね!

美沙だよ!


五村城南高校の三年生でしたぁ。今は浮遊霊として楽しくやってます!


んー、今回はちょっと出てる感じかなぁ。ま、そういうのもたまにはいいかな。


じゃ、よろしくね!

五村署の弓永だ。


経歴に関しては伏せとく。他のことは過去の話を参照してほしい。


さて、今回だが、どうやらおれのことで揉めてるんだってな。


まぁ、おれ自身にはそんな関係ないか。


今回もよろしくな、おれはほとんど出ないけどよ(笑)

まぁ、たまにはこういう立場もいいもんね。


時系列的な話をすると……、この時期は我が友人が初デートにいく前なんかな。


まぁ、矛盾があったら申し訳って感じだわな(笑)

ふふ、お久しぶり。


っていってもアナタはわたしのことを知らないかな?    一度だけ姿を見せたことがあるんだよ?


名前?ーーそうだなぁ、とりあえず、『サロメ』とでも呼んでね。


今回は祐太朗くんのこれまでの仕事を査定するよ。でも、外夢市からきたゲストのお陰で色々わたしも大変でね。


外夢市、わたしにとってはちょっと因縁の場所かもしれないな。


ふふ、また会おうね。

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