まいどありがとうございます、『ひなたや食堂』です!
……はい、出前の注文ですね?
オムライスをひとつ、天空神殿エルヴァラまで!
だ・い・し・きゅ・う~!
がちゃり。
…………。
ジリリリリリ♪ ジリリリリリ♪
ジンどの、後生です。
あの味が忘れられないのです。
せめてあと一度だけでも……
パヤッタさん。
きのう、あれで最後にするって約束しましたよね。
このままでは空腹のあまり、私の中に封印されている召喚獣たちが暴れ出して、世界を滅ぼしかねません。
どうかこの世界を救うというお気持ちで、オムライスをひとつ……大盛りで!
わーい、やったー!
デマエジンソクでお願いしますね!
迅一郎は電話を切ると、手早くオムライスを作って銀色のおかもちに入れた。
異世……イセハラくんち!
(あぶない、口がすべるところだった……)
ええと、パヤッタに教えてもらった転移魔法は……ごにょごにょ……っと。
異世界も三度目となれば、慣れたものだなあ。
入口はたしかこっちに……
くっくっく……この神殿に人間が訪れるのは200年振りか。
血が騒ぐのう、姉上!
賢者パヤッタさまに謁見されたいのであれば、まずは我ら『飛龍姉妹』にその力を示しなさい。
なんだ、誰かと思えば件の飯屋か。
がっかりさせおって……ほら、さっさと入れ。
パヤッタときたら『オムライス、オムライス』とうるさくてかないません。
なんとかしてくださいな、オムライスさん。
神殿の扉が、ずごごごごご……と音を立てて開く。
迅一郎は長い通路を歩いていった。
オーロラのような垂れ幕のかかった玉座の前で、うろうろと歩き回る人影があった。
なんと美しい!
このまま未来永劫眺めていたい心持ちです!
そしてこの大きさ、きのうの倍以上あるのでは!?
いっただきまーす!
もぐもぐ……
ん~~~~~~~っっっ!♡♡♡