第3話 アンバーとの生活
文字数 1,345文字
アンバーが家に来てからというもの毎日、初めて尽くしで大変だったけど、楽しかった。
生後、数週間だったアンバーを祖父母と共に、動物病院へ連れていき精密検査。
ワクチンを打ち獣医から今後の育て方を皆で学んだ。
生き物を飼うのは始めてで、全てが新鮮でワクワクした。
祖父母も自分で、しっかり面倒を見れるならと快く飼うことを承諾してくれアンバーは晴れて雨宮家の家族の一員となった。
‥‥四苦八苦。まさに、その言葉の通り
産まれて間もいアンバーは食事も一人では儘ならず、最初は食べさせるにも苦労した。
小さなスポイトでミルクを数時間おきに飲ませゲップをさせる。
排便も自分では出来ないので手助けをする。
少し湿らせた脱脂綿で肛門を刺激し排尿を促す。
眠る時には箱の中にフワフワの毛布を敷き詰め、小さな時計をアンバーの傍においた。
こうすることにより、母親の心音と同じ効果が得られ、子猫は安心して眠ることができるのだという。
そんなこんなで慌ただしく日々は過ぎ、三ヶ月も過ぎればアンバーは、すっかり大きくなり、今では普通にカリカリ(普通のキャットフード)を食べている。
そして活発に動くようにもなり悪戯もするようになった。
◇◇◇◇◇◇
アンバーは物凄く悪戯好きだった。
ある時はカーテンをよじ登り、カーテンはボロボロ‥。
またある時は、棚から棚へ飛び回り仕舞いには棚を倒して大あらわ‥。
極めつけはティッシュペーパー騒動である!
買い物から帰って来た僕の目の前に、飛び込んできた光景は、真っ白なティッシュペーパーで埋め尽くされ悲惨なまでに散らかった部屋。
あれには、さすがの僕も驚いた。
あまりの散らかりように途方にくれている僕を尻目に、アンバーは体中にトイレットペーパーを巻き付けスヤスヤと、寝息を立てて気持ち良さそうに、僕のベッドで眠っていた。
(なにをどーやったら、こんな状態になるんだよ‥)
その寝顔の可愛さに怒ることも出来なくて苦笑いを浮かべ、ため息混じりにアンバーの耳を軽く引っ張ると「ミャッ」と小さく鳴き、大きなハチミツ色の瞳をパーっ瞬かせ、僕の指に頬を擦り寄せ甘えてくる。
その姿が愛おしくて、胸の奥が擽ったくて幸福に満たされた。
◇◇◇◇◇◇
月日は流れ、僕は成人し今年で二十歳になる。
ある暑い夏の日。
別れは突然、訪れた。
大好きだった
ばあちゃんが死んだ‥。
ばあちゃんは癌を患っていたのだと後にじいちゃんから聞かされた。
今、僕の掌中に一通の便箋が握られている。
ばあちゃんは余命宣告を受けており、自分の死期が近いことを悟っていたらしく最後に僕に手紙を残したのだという。
ばあちゃんの死に現実味が、全く感じられず、棺の中に横たわる、ばあちゃんの顔は死に化粧が施され‥。
とても‥とても‥美しく
死んでるようには見えなかった。
「‥‥眠ってるみたいだね‥」
じいちゃんは何も言わなかったけど黙って僕の肩に手を置いた。
ゆっくりと空を流れる雲のように、時間だけが過ぎていく。
いつしか空には月が見え、薄明かりの室内に柔かな光を落としていた。
生後、数週間だったアンバーを祖父母と共に、動物病院へ連れていき精密検査。
ワクチンを打ち獣医から今後の育て方を皆で学んだ。
生き物を飼うのは始めてで、全てが新鮮でワクワクした。
祖父母も自分で、しっかり面倒を見れるならと快く飼うことを承諾してくれアンバーは晴れて雨宮家の家族の一員となった。
‥‥四苦八苦。まさに、その言葉の通り
産まれて間もいアンバーは食事も一人では儘ならず、最初は食べさせるにも苦労した。
小さなスポイトでミルクを数時間おきに飲ませゲップをさせる。
排便も自分では出来ないので手助けをする。
少し湿らせた脱脂綿で肛門を刺激し排尿を促す。
眠る時には箱の中にフワフワの毛布を敷き詰め、小さな時計をアンバーの傍においた。
こうすることにより、母親の心音と同じ効果が得られ、子猫は安心して眠ることができるのだという。
そんなこんなで慌ただしく日々は過ぎ、三ヶ月も過ぎればアンバーは、すっかり大きくなり、今では普通にカリカリ(普通のキャットフード)を食べている。
そして活発に動くようにもなり悪戯もするようになった。
◇◇◇◇◇◇
アンバーは物凄く悪戯好きだった。
ある時はカーテンをよじ登り、カーテンはボロボロ‥。
またある時は、棚から棚へ飛び回り仕舞いには棚を倒して大あらわ‥。
極めつけはティッシュペーパー騒動である!
買い物から帰って来た僕の目の前に、飛び込んできた光景は、真っ白なティッシュペーパーで埋め尽くされ悲惨なまでに散らかった部屋。
あれには、さすがの僕も驚いた。
あまりの散らかりように途方にくれている僕を尻目に、アンバーは体中にトイレットペーパーを巻き付けスヤスヤと、寝息を立てて気持ち良さそうに、僕のベッドで眠っていた。
(なにをどーやったら、こんな状態になるんだよ‥)
その寝顔の可愛さに怒ることも出来なくて苦笑いを浮かべ、ため息混じりにアンバーの耳を軽く引っ張ると「ミャッ」と小さく鳴き、大きなハチミツ色の瞳をパーっ瞬かせ、僕の指に頬を擦り寄せ甘えてくる。
その姿が愛おしくて、胸の奥が擽ったくて幸福に満たされた。
◇◇◇◇◇◇
月日は流れ、僕は成人し今年で二十歳になる。
ある暑い夏の日。
別れは突然、訪れた。
大好きだった
ばあちゃんが死んだ‥。
ばあちゃんは癌を患っていたのだと後にじいちゃんから聞かされた。
今、僕の掌中に一通の便箋が握られている。
ばあちゃんは余命宣告を受けており、自分の死期が近いことを悟っていたらしく最後に僕に手紙を残したのだという。
ばあちゃんの死に現実味が、全く感じられず、棺の中に横たわる、ばあちゃんの顔は死に化粧が施され‥。
とても‥とても‥美しく
死んでるようには見えなかった。
「‥‥眠ってるみたいだね‥」
じいちゃんは何も言わなかったけど黙って僕の肩に手を置いた。
ゆっくりと空を流れる雲のように、時間だけが過ぎていく。
いつしか空には月が見え、薄明かりの室内に柔かな光を落としていた。