おにぎりの具

文字数 745文字


 おにぎりの具


 一番好きなおにぎりの具を聞かれて、間髪をいれずに答えられる人はなんだか勇ましく思う。性格上潔くも見えるし、そうでなければ、よほどその「一番」の味が好きなのだろうと推し量る。筆者はというと、シャケか、たらこか、いくら、などと3者も並べて答える始末である。おかかと昆布も捨てがたいが、この両者は今のところ二番手に位置している。

 食の好みや価値観は人それぞれであり他人の嗜好に口をはさむつもりは毛頭ないが、一番手に「ツナマヨ」を挙げる人とは友達になれないような気がする。たとえ仲良くなれても、一緒に楽しく食事をすることは果たして可能なのだろうかと疑ってしまう。ツナマヨおにぎりは食べたことがない。食わず嫌いなだけかもしれない。しかしながら、どうもマヨネーズとごはんの組み合わせをよしとしない思考回路が、生まれたその瞬間から備わっているような気がしてならない。ツナマヨおにぎりを愛する皆様、申し訳ない。

 さて、筆者が先に挙げたお三方だが、どれかひとつを選ばなければならないとしたら、やはりそれは「シャケ」だろうか。あの、シャケ本来が持っているうま味と味付けされた塩気が周りの白ごはんに染みて、外側の海苔とも絶妙に調和し合う。現代人風に言うならば「シャケしか勝たん」である。

 たらこといくらももちろん最高に美味しいが、好きな具の一番手に挙げるとなんだか贅沢者に見られてしまうのではないかといささか心配になる。どちらも梅やおかか、昆布などと比べると少しばかり値が張るためだ。小さな子どもに「好きなおにぎりの具はなあに?」と尋ねて「おかか」と言えば可愛いが、そこで「いくら」などと言おうものなら、「あらまあ、お金がかかりそうな子ねえ・・・」などと思ってしまう。あくまで筆者の考えであるが。




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