お漬物の幸福度

文字数 582文字


 お漬物の幸福度


 定食でもお弁当でもなんでも、お漬物があるのと無いのとでは幸福度が大きく違う。
ほんの少しでも良い、ちょこんとで良い。白ごはんの上に乗せられていたり、脇に添えられていたりするだけで、全体にぐっと締まりが生まれ、「お漬物あるんだ~」というささやかな喜びなるものを持ち合わせて食事を楽しむことができる。

 その種類はしば漬けやたくあん、野沢菜、ゴボウなど様々だが、お弁当の場合、それらは白ごはんの上に乗っているのが理想的である。特にしば漬けは、白ごはんの上に乗りその色がごはんに移っているのが「善し」なのは間違いない。別の容器に入れられてしまうと、なんだかしば漬けが寂しい表情を浮かべているように思えて仕方がない。トンカツと千切りキャベツがいつも寄り添っているのと同じく、しば漬けと白ごはんも常に一緒にいた方が良い。

 お漬物大好き人間の筆者が最近気づいたのが、「お漬物の幸福度」を決めるのは量ではないということだ。スーパーで買ったおいしいたくあんを、厚めの輪切りにして5、6個一度に頂いたことがあった。そのときの幸福度と、お弁当にちょこんと添えられている大根のお漬物を食べたときの幸福度、どちらが高かったかというと、意外なことに後者なのだ。

 ううむ。幸せというものは、ありすぎてもダメ、ちょうどよいくらいの少しを、ぎゅっと噛み締めるのが良いのかもしれない。



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