第一話 退職願
文字数 709文字
その日の飲み会は酷いものだった。隣の部署の客という男は、二次会三次会まで月子を連れ回し、日が変わっても延々と猥談を続け、最後に隣の部署の課長に「月子ちゃんをお持ち帰りしますね〜」と宣言した。月子はタクシーを降りるとすぐに、千鳥足のその客を振り切って猛ダッシュし、タクシーを拾って家に帰った。
この会社はとても大きな会社で、関わる人間も多岐にわたる。従業員は歯車として必要とされる場所で必要な役割を果たすだけだ。君に限らず、私や他のメンバも同じだ。
それにエンジニアには、土曜も日曜も、深夜も早朝も無いんだよ。それを当たり前と思えない君は、エンジニアには向いていない。