第二話 配属初日

文字数 561文字

君は退職したいとの事だったが、私は君を外に出せる程、充分に教育出来ていない。

「資料保管室」に空席が有って、人材を探しているそうだ。行ってくれるね。

こうして月子は、資料保管室に異動になった。
私は室長の新田です。どうぞよろしく。私は仕事があるので、細かい事は、柳さんに教えて貰って。

じゃ、柳さん、給湯室だけ教えてあげて。黒川さん、分からない事は柳さんに聞いて。

はぁい。
はい。
ここが給湯室。汚いでしょう。室長と井田さんしか使ってないから。調子に乗るから掃除しなくて良いから。

で、室長は仕事が有るって言ってたけど、新聞読んでるだけだから。

んで、後の二人は自分からは言わないだろうから私が言うわ。室長はどうか知らないけど、この部署の残りのメンバ全員コネだから。半田さんは常務の甥、井田さんは九州工場の元地権者の息子、私は株主の娘。そういう訳で、何もしなくても切られないの。やらかしちゃうよりは役立たずの方が身内は安心だからね。

黒川さんは、お客さん怒らせたんだよね。それで切られないのはあなたもコネなんじゃないの?

さぁ…。家の家系は、ずっとこの辺りに住んではいるけど…。

あ、あと人事部長の息子さんと私は同じ大学出身らしい。

まぁコネっちゃコネかしらね。

で、この部署の決まり事はただ一つ。「残業しない事」、以上。

首繋ぐ術は定時で金取るな。
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登場人物紹介

ナレーション

月子

元上司の井原

上司の新田

同僚の柳

同僚の半田

同僚の井田

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