第3話
文字数 578文字
1週間前の、5月15日、木曜日。
その日に限って、いつも一緒に昼飯を食う奴らが用事があるとかで、俺はひとりで学校内をうろちょろしていた。まだ滑り込めそうな昼食のグループを探しに。
しかしトイレに行っていて出遅れたからか、もうほとんどのグループは盛り上がりすぎか盛り下がりすぎで入りにくかった。
仕方がない、ひとりで食べよう。
教室でひとり、はさすがに目立つので、中庭のベンチまで行く。そして膝に弁当を置き、いざ実食、という時に。
一陣の風が吹き、俺の弁当の袋が舞った。あ、とそれを見上げると自然と目に入ったのは、校舎の屋上。そしてその縁に立つ少女だった。
なにをしているんだろう、なんて考える暇もなく、その黒い影は屋上から地面へ真っ逆さまに落ちていった。
『落ちていく時は、全てがスローモーションに見えるんだって』
ふとそんなセリフが蘇る。
一部始終を全てみていたのは俺だけだったらしい。一応、事情聴取らしきものを受けたけれど大したことはなかった。警察も自殺だと殆ど確信していたんだろう。
かくして、ひとりの少女の飛び降り自殺は幕を閉じた。でも飛び降りた生徒が到底そんなことをするような奴には見えなかったから、未だに生徒と教師の違和感と好奇心の対象になっている。
まあそんなことだって、所詮は他人事。一ヶ月もすれば、殆どの人間には忘れ去られるだろう。経験上、俺はそう知っていた。
その日に限って、いつも一緒に昼飯を食う奴らが用事があるとかで、俺はひとりで学校内をうろちょろしていた。まだ滑り込めそうな昼食のグループを探しに。
しかしトイレに行っていて出遅れたからか、もうほとんどのグループは盛り上がりすぎか盛り下がりすぎで入りにくかった。
仕方がない、ひとりで食べよう。
教室でひとり、はさすがに目立つので、中庭のベンチまで行く。そして膝に弁当を置き、いざ実食、という時に。
一陣の風が吹き、俺の弁当の袋が舞った。あ、とそれを見上げると自然と目に入ったのは、校舎の屋上。そしてその縁に立つ少女だった。
なにをしているんだろう、なんて考える暇もなく、その黒い影は屋上から地面へ真っ逆さまに落ちていった。
『落ちていく時は、全てがスローモーションに見えるんだって』
ふとそんなセリフが蘇る。
一部始終を全てみていたのは俺だけだったらしい。一応、事情聴取らしきものを受けたけれど大したことはなかった。警察も自殺だと殆ど確信していたんだろう。
かくして、ひとりの少女の飛び降り自殺は幕を閉じた。でも飛び降りた生徒が到底そんなことをするような奴には見えなかったから、未だに生徒と教師の違和感と好奇心の対象になっている。
まあそんなことだって、所詮は他人事。一ヶ月もすれば、殆どの人間には忘れ去られるだろう。経験上、俺はそう知っていた。