第2話

文字数 602文字

「……はぁ」
結局なにも出来ないまま一夜を過ごしてしまった。
「なんだよ海斗。朝から溜息なんてついて」
登校してきて早々、机に頬杖をつきため息をつくというあからさまな構ってアピールみたいなことをしてしまった。隣の席の悠馬はいい奴なので、律儀に訊いてくる。
「いや……」
俺は、ただ鳴宮のあの場面を見ただけでターゲットになってしまうくらい価値のない人間に思われているのだろうか。その、死神、とやらに。
勉強も運動も割とできる方だし、顔だって悪くはないと自負している。誰かをいじめたり、犯罪を犯したりしたこともない。
それなのに、なんで自分が死ぬか誰か殺すかなんて究極の選択をしなければいけないんだ。
ここで悩む時点で人間として終わってるってことか?でも自分がかわいいのは皆同じだろう。かといって、人を犠牲にはできないことも。
「あーぁ……」
よしわかった。決めた。何もしない。
流石に誰かを殺したりなんてしたら、一生後悔するだろうから。
そうと決まれば。
「おい、どこ行くんだよ?」
「帰るわ」

「うま……い、けど」
学校サボって、コンビニアイスの買い食い。
これ以外に、死ぬ前にやっておきたい悪いことは思いつかなかった。今まで一応優等生としてやってきたから、もっと発散するものがあると思ったんだが。そもそも犯罪がしたかった訳じゃないし、そりゃそうか。
何しようかな。
「あ、そうだ。姉ちゃんに会いに行くか」
死ねばどうせ会えるのかもしれないが。
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