第2話
文字数 767文字
今日もいつも通り深夜のコンビニで買った割引されたおにぎりと職場にストックしてある野菜スープをデスクの上に広げて、お昼休みにする。つい習慣からニュースサイトを覗いてしまうのだが、そこでもやはり話題は最年少の彼に関することで持ち切りだった。
最年少、15歳、○○賞。
単語は拾えるけれど、本文を読んでその中身を理解することは私の奥の奥が拒んでいるようだった。それでも、何かが引っかかってそのページを閉じることが出来ない。私はおにぎりを食べるのも忘れ、意味の読み取れない文章の羅列が並ぶスマホの画面を凝視したまま動けなくなった。
そうしているうちに、だんだんと画面以外の部分がぼやけていき、○○賞、と言う文字に吸い込まれていくような感覚がした。
真っ白と言うより濃いグレーになった頭の中に、懐かしい声が聞こえてきた。
「久しぶりだね。まだ何か青臭い夢に未練でも感じているのかい?」
それは掠れているようで張りのある、低くも高くも聞こえる、不機嫌そうにも愉快そうにも聞こえる声だった。男性とも女性ともつかないその声は、この世のものとは思えない程に魅力的で、抵抗なく私の頭に染み込んでいく。
私がその声を初めて聴いたのは中学生の頃だった。ちょうど進路を決める時、初めて取り返しのつかない決断をする気がして臆病になっていた時、その声は私の頭に響いた。
「お前がやりたい方に行けばいいだろう?何を迷っているんだ?先のことなんて後から考えればいいんだ。」
ひどく甘い、誘う声色だった。
「ねえ、お前は本当に進学校に行きたいの?」
「勉強が嫌いじゃないから?」
「嫌いじゃないことと好きなこと、どっちを選んだ方が楽しい人生なんだろうね?」
毎日毎日それは私に語りかけた。聞いたことのない声なのに、昔からよく知っているような気もして、心が揺れた。厳しく
最年少、15歳、○○賞。
単語は拾えるけれど、本文を読んでその中身を理解することは私の奥の奥が拒んでいるようだった。それでも、何かが引っかかってそのページを閉じることが出来ない。私はおにぎりを食べるのも忘れ、意味の読み取れない文章の羅列が並ぶスマホの画面を凝視したまま動けなくなった。
そうしているうちに、だんだんと画面以外の部分がぼやけていき、○○賞、と言う文字に吸い込まれていくような感覚がした。
真っ白と言うより濃いグレーになった頭の中に、懐かしい声が聞こえてきた。
「久しぶりだね。まだ何か青臭い夢に未練でも感じているのかい?」
それは掠れているようで張りのある、低くも高くも聞こえる、不機嫌そうにも愉快そうにも聞こえる声だった。男性とも女性ともつかないその声は、この世のものとは思えない程に魅力的で、抵抗なく私の頭に染み込んでいく。
私がその声を初めて聴いたのは中学生の頃だった。ちょうど進路を決める時、初めて取り返しのつかない決断をする気がして臆病になっていた時、その声は私の頭に響いた。
「お前がやりたい方に行けばいいだろう?何を迷っているんだ?先のことなんて後から考えればいいんだ。」
ひどく甘い、誘う声色だった。
「ねえ、お前は本当に進学校に行きたいの?」
「勉強が嫌いじゃないから?」
「嫌いじゃないことと好きなこと、どっちを選んだ方が楽しい人生なんだろうね?」
毎日毎日それは私に語りかけた。聞いたことのない声なのに、昔からよく知っているような気もして、心が揺れた。厳しく