5頁

文字数 728文字

 俺は遠藤さんの体を揺すりながら、

「遠藤さん!大丈夫ですか!遠藤さん!」

と叫び。携帯を取り出すと、

「刑事が1人負傷!救急車を至急!」

と本部に電話をした。すると遠藤さんは、

「痛え〜!あの野郎、いきなり撃ちやがって」

と体を半身起こした。
 胸から血が出ていたが、上着をめくり胸を俺に見せると。

「どうだい、デカイ銃も役に立つだろう」

と言った。44マグナムに弾が当たり、弾けた様だ。胸を傷付けたが重傷ではなかった。

「良かった!死んだかと思いましたよ!」

「あはは、この程度では死ねねぇなぁ〜。
これで結城は指名手配だ。刑事を撃ったんだからな。今度はこっちの番だな」

と笑みを浮かべながら気を失った。
 どうやら衝撃で肋骨に、ヒビぐらいは入っている様だ。俺は救急車を待ち。その場で遠藤さんを介抱した。
命には別状は無いようだが、内臓に傷がついてない事を祈った。

 それから3日間、遠藤さんは肋骨にヒビと、飛び散った弾と銃の破片が、身体に少なからず影響を与えてしまい、入院してしまった。
 結城は逃げ切れないと思ったのか、弁護士と共に警察に出頭してきた。
 遠藤さんにその話をしたら、

「ケッ、俺がケリをつけてやろうと思ってたのに。出頭とは情けないヤクザだぜ、まったく」

と残念がっていた。俺はこの人、結城を撃ち殺すつもりだったのかな?とちょっと怖くなった。だがあの時、俺も銃を持っていたら。
絶対に結城を撃っていただろうと思えた。
それ程の怒りが沸き起こっていたのだ。
大事な恩のある先輩を撃ち殺した結城。

俺はあの時、飛び掛かってでも結城を殺してやりたいと思ったのだ。そんな自分が恐かった。
 俺は、遠藤さんを見舞いに行った帰り道。
明日は非番だからと、独り身の気楽さで居酒屋で、一杯やって帰った。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み