#05 銀の杯
文字数 1,336文字
ブリュノはそう言うと、スッとひざまづいて愛を誓った。
ザァザァ──────……。
外では雨が激しく降り出していた。
ジゼルは部屋中を
引き出しや扉を開けては、出てくるのは高級品ばかり。
暖炉の中や壁をさわっても、隠し扉らしきものは見つからず、途方に暮れていた。
聞こえてくるのは、目新しい物を見つけたときのブリュノの喜びと驚きの声。
ジゼルは階段の踊り場に掛けられた、デボルド=ベルモール公爵の肖像画を見つめた。
彼の肖像画だけ、他の肖像画と離れて飾られている。
公爵の肖像画を外すと、ジゼルの予想通り、そこには隠し扉があった。
ガチャ。
扉を開けると、中には木でできた箱がぽつんと置かれていた。
箱の側面に刻まれた“十字のマーク”を見て、ジゼルは思わず笑みがこぼれる。
するとそのとき、上から悲鳴が聞こえる。
上を見上げると、ブリュノが青白い顔をして階段を駆け下りてくる。