#06 魔物たちの館
文字数 1,540文字
ブリュノは指示通り、木の箱から銀の杯を取り出す。
ジゼルは手を組んで、目を輝かせる。
ジゼルはそう言うと、ナイフで手のひらをサッと切ると、杯の中に自分の血を一滴垂らした。
そして、ブリュノも同じように血を一滴垂らすと、ジゼルはナイフについた血をペロリとなめる。
二人の血は円を描くように、ぐるぐると交ざり合い、ルビーのように真っ赤に染まっていく。
そして、ブクブクとものすごい音をたてて、赤い煙がもくもくと出始めた。
ジゼルの名を叫んだ瞬間、ブリュノは煙の中でクスクスと笑う彼女の驚きの姿を見てしまう。
ゴロゴロズド────ンッ!!!
雷鳴とともに空に閃光が走る。
もくもくと広がる煙の中から、続々と現れる魔物たち。
そして、その中にあのデボルド=ベルモール公爵の姿もあった。
ジゼルの姿で語りながら、だんだんと本来の姿に戻っていく。
ブリュノは頭を抱えながら、フラフラと後ろへよろめく。
すると、そこへ1匹のコウモリが飛んできた。
公爵の前までくると、フッと一瞬で人の姿に変わった。
ブリュノはサァと青ざめ、そこから逃げ出した。
階段を滑り落ちるように駆け下り、早く早くと心の中で繰り返しながら、やっとの思いで扉を開けたときだった。
ゴロゴロズド────ンッ!!!
閃光が走った瞬間、霧の中から、ずぶ濡れた老人の顔が浮かび上がる。
ブリュノが、老人に問いかけたときだった。
不気味な笑い声とともに、魔物たちがぞろぞろとブリュノのまわりに集まって来た。